<この体験記を書いた人>
ペンネーム:kaori
性別:女
年齢:55
プロフィール:息子と猫とインコと音楽とともに、大好きな文章を書いて生きる幸せ者。
先日、以前勤めていたグループホームでお世話になった先輩と、10年ぶりにランチをしました。
ほぼ同年代で、職場ではいつも元気はつらつで感情豊かだった彼女。
時にはおじいちゃんやおばあちゃんと本気になって喧嘩したり泣いたり笑ったり、いつも健康で明るいイメージの彼女と会うのは本当に楽しみでした。
ファミレスでオーダーを済ませ、会話が始まると開口一番、彼女からこう告げられました。「私、乳がんの手術したんだよ、去年」。
「がん」という2文字は、彼女のイメージからは大きくかけ離れた言葉で、驚いてしまって、言葉を口にすることができませんでした。
ようやく「どうだったの? きれいに取れたの?」と尋ねると「大丈夫、ごくごく初期だったから部分的に切除して、きれいに取りきれたよ。今はもうピンピンして仕事してるよ」とのこと。
何事もなかったかのような彼女らしい笑顔に、ほっと胸を撫でおろしました。
しかしながら、「でもさあ」と言葉をついた彼女の話にはびっくりしました。
がんが発見されたのは、市の健診だったそう。
胃と腸の検査に加えて、これまで一度も受けたことのない乳がん、子宮がん健診が受けられるようになっていたので、「一度やっておこうかな」と健診を受けたそうなのです。
そして初期の乳がんが見つかったのですが、なんとその連絡が職場の電話にかかってきたのだそうです。
小さなグループホームの食堂にある電話は、話の内容がほぼ筒抜け。検査結果に愕然として頭が真っ白になったまま電話を切った彼女を待っていたのは、興味津々な同僚たち。
「なに? なに? どうしたの? なんか見つかったの?」。
遠慮会釈ない質問責めに会い、「家族に何と言おうか」と悩んでいた彼女の頭は大混乱。
デリカシーも何もあったもんではなかったそうです。
確かに私たちの年代の女性にとって乳がん、子宮がんは大きな関心事。
しかも、女性ばかりの職場では隠し事は不可能です。
家庭内事情や嫁姑問題、子供の進学、お金の問題......何につけ、話題は共有されて当然のようなもの。
だからといって、時と場合を考えるデリカシーは無かったのでしょうか?
その後も、入院、手術、退院とすべての情報は皆の知るところとなっており、職場復帰しても「なんの薬飲んでるの?」「傷は治った?」など心配という名目のおせっかいは続いているそうです。
これから健診を受ける皆さん! 気を付けましょう。
「結果は必ず、自分の携帯電話に知らせて下さい」と、忘れずに念を押しておいてください。
それにしても...ともかく彼女が無事で良かった。
明るい笑顔とはつらつとした声を聞けたことを、心から感謝しています。
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