「便秘の人が大腸がんになりやすい」は大げさ?/大腸がんの常識・非常識

40歳過ぎから発症率が高まる大腸がん。いろいろな噂が飛び交って、中には事実とは事実と違う情報もあるようです。そこで、大腸がんの第一人者である玉川病院外科部長、東京医科歯科大学特命教授、安野正道先生に「誤解しやすい情報」について教えてもらいました。

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【誤解?正解?】
「便秘の人が大腸がんになりやすい」というのは大げさな気がします

【先生のお答え】
必ずしも便秘が大腸がんにつながるわけではありませんが、注意は必要です

慢性的に便秘がある人が全て大腸がんになるわけではありません。しかし、便秘が長く続くことで、大腸がんになるリスクは高まります。大腸がんは、大腸の内側の粘膜にできる悪性腫瘍です。腺腫という良性の大腸ポリープが成長する過程で、がん化する場合があるのです。また、正常な大腸の粘膜から突然がんが発生することもあります。いずれにしても大腸の内側の粘膜が刺激を受け続けることが、大腸がんの引き金となるのです。

便秘で大腸内に長い間、便がたまっている状態は良いとは言えません。大腸の内側の粘膜にある細胞が悪い刺激を受けて炎症を起こしたり、ポリープができたりします。そして、それらから大腸がんが発生することがあります。

大腸は食べ物の最後の通り道です。胃で消化されて粥状になった食べ物が、5〜6mある小腸で栄養を吸収され、最後の残りかすが大腸でさらに水分を吸収されながらだんだんと固形の便となって、肛門から排泄されます。

大腸は1.5m〜2mの臓器で、右下腹部から右上、左上、左下腹部から肛門へと続いています。大腸の中で最もがんを発生しやすい場所が直腸で35%、次いでS状結腸が34%と、肛門に近い部分での大腸がんの発生が多いことが明らかになっています。それに対して、肛門から遠い場所では、がんの発生が少ないのです。

大腸がんが増えたのは、食の欧米化によるものだとされています。戦前の日本人の食生活が玄米、野菜、発酵食品、魚などが中心だったのに対し、戦後は肉食を中心とした高脂肪食が多くなり、食物繊維の摂取量が減ってしまったことに関係しているのです。

食物繊維は便の量を増やして排便しやすい形を作るのに不可欠です。肉食ばかりだと便はドロドロになって、大腸の内側の壁にこびりつき、悪い刺激を与えてしまいます。

■大腸の構造と大腸がんの部位別発生頻度


がんがある程度の大きさになると、 血便、便秘や下痢などの便通異常、腹痛などの症状が現れますが、早期にはほとんどが無症状です。

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取材・文/宇山恵子

 

 

<教えてくれた人>

安野正道(やすの・まさみち)先生

玉川病院外科部長、東京医科歯科大学特命教授。 正確かつ迅速な診断と、適切な治療がモットー。

この記事は『毎日が発見』2019年7月号に掲載の情報です。

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