40歳過ぎから発症率が高まる大腸がん。いろいろな噂が飛び交って、中には事実とは事実と違う情報もあるようです。そこで、大腸がんの第一人者である玉川病院外科部長、東京医科歯科大学特命教授、安野正道先生に「誤解しやすい情報」について教えてもらいました。
■女性の大腸がんは少ないって本当ですか?
【正解】
その答えはノーでもあり、イエスでもあります
大腸がんになる人の数は増加傾向にあります。主な理由は、食生活の欧米化(高脂肪食)、食物繊維不足、高齢化です。また、検査技術の進歩と普及により、早期発見により死亡する人の数は減っています。女性の大腸がんは多くないかというと、確かに男性に比べれば大腸がんになる人も、大腸がんで亡くなる人も少ないですが、女性だけで見るとがんによる死亡数が最も多いのは大腸がんです。
女性がかかりやすいがんとしても、乳がんについで2番目に多いというデータが出ています。女性は大腸がんになりにくいわけではなく、男性の方が死亡する人が多いのです。女性も油断せずに、そして検査を恥ずかしがったり嫌がったりしないで、便潜血検査を1年に1回は受けましょう。
■2017年に大腸がんで死亡した人
(60歳以上年齢階層別)
単純に人数のみで比較すると、男性24,847人、女性21,595人となる。
■がんによる死亡数が多い部位(2017年)
男女で順位は異なるが、大腸がんはいずれも死亡数が多い(全年齢の総計)。
■罹患数が多い部位(2014年)
罹患部位にも男女差が表れています(全年齢の総計)。
出典/国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」
取材・文/宇山恵子