急にくる「下痢」や長く続く「便秘」に悩んでいる女性も少なくないはず。そこで、排便トラブルのスペシャリストである大腸・肛門機能の専門医による話題の書籍から「排便の正しい知識と対処術」をご紹介!目指すべき理想の便「するするバナナ」についてや、多くの人が誤解して陥りやすい「うんこトラップ(罠)」、またその予防・対処術としての「うんトレ」のエッセンスを、連載形式でお届けします。
※この記事は『うんトレ ― 誰にも言えないうんこのトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(神山剛一・医療監修/方丈社)からの抜粋です。
どうやって「うんこをする」?
便意を感じたときに、きちんと出せることも大切です。ただ、大腸・肛門機能の専門医である神山先生は「出す力とは踏ん張って出すことではない」と強調します。
そもそも、「うんこをする」とはどういうことなのでしょうか。口から食べた物は、食道、胃、小腸などでのさまざまなプロセスを経て、大腸にやってきます。大腸のうちでも肛門に最も近い直腸に十分な便がたまると、その刺激が便意となります。
ところが、意外なことに肛門には、普段は締まる力はあっても開く力がないといいます。便意を感じていきんだとき、肛門付近では脳からの司令で普段は肛門を締めている恥骨直腸筋などがゆるみます。同時に腹圧がかかり直腸壁が収縮して、たまっていた便が押されます。この便により、肛門は押し広げられるのです。
つまり、理想の便である「するするバナナ」が出ていくためには、便のほどよい硬さ、腹圧が正しくかけられること、肛門付近の筋肉をゆるめられることが必要です。言い換えれば、これらが「出す力」なのです。出す力をアップさせるためには、妨げとなっているものの可能性を考え、ひとつずつ改善していくことです。
ほどよい硬さの便のためには、イク便(便を育てる)です。いきんでいるのに腹圧を正しくかけられないのは、筋肉が衰えていたり、じょうずに使えていないせいかもしれません。
また、「日本人は、和式トイレのほうがいきみやすい」という話を聞いたことがあるでしょうか。実は、日本人の直腸は肛門に対して曲がっており、便がスムーズに出る妨げとなっていることも多いのだといいます。和式トイレでは、これが自然に解決されていたのですが、洋式トイレでも姿勢を工夫することで改善できます。
そこで、医療現場や教育機関でリハビリテーションに携わりながら、「くちビルディング選手権」などのイベントを通してヘルスケアの知識を全国に広めている一般社団法人グッドネイバーズカンパニーの理学療法士の児島満理奈さんに、解決法を伝授していただきます。
排便姿勢を工夫
姿勢を工夫することで、スムーズな排便を助けます。ポイントとなるのは、直腸と肛門の角度(直腸肛門角)です。日本人は、直腸が肛門に対して曲がっていて、排便の妨げになりやすいのです。この角度を少し変えることで、するする排便しやすくなります。
【踏み台を使う場合】
踏み台を使う目的は、直腸肛門角を変えることです。決して、踏ん張るためではありません。足をのせることで、無理に力まず、するする出る高さが理想です。高さが合えば雑誌等でもOKです。
【踏み台がない場合】
姿勢を変えると、直腸と肛門の角度「直腸肛門角」が変わります。すると、肛門を締めている恥骨直腸筋もゆるみ、排便しやすくなります。
実は、日本人の腸は変形が多く直腸肛門角もさまざまです。つまり理想的な排便姿勢は人それぞれ。30 度は目安と考え、台の高さや上体の倒し方など変えて、すっと出やすい自分の角度を探しましょう。
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かわいいイラストを使って「排便の正しい知識と対処術」が分かりやすく解説されています