たかが便秘、されど便秘。 放置はとてもキケンです
お通じがスッキリしないと、下腹部に不快感があり、春物の薄手のスカートをはいたときにおなかがポッコリと出て、見た目にも「イヤだな」と思うことってありますよね。市販の便秘薬を使用してお通じが来ても、おなかがゴロゴロして痛むなど不快感が抜けないことも。「病院へ行くほどではないけれども、なんとなく調子が悪い」という便秘は、放置すると大腸がんなどの病気のリスクが高まるので注意が必要です。
「腸の中には無数の細菌が生息し、これを腸内フローラと呼びます。近年の研究で、腸内フローラは、免疫機能の低下や大腸がん、糖尿病などの生活習慣病にも関与することが明らかにされています。便秘で腸内フローラのバランスが崩れると、病気のリスクが高まるのです」と小林弘幸先生は説明します。
100兆個ともいわれる細菌から成り立つ腸内フローラには、乳酸菌や大腸菌などたくさんの種類の細菌が生息しています。その細菌の種類のバランスが崩れると、細菌から放出される成分が変わり、免疫機能の低下や大腸がんなどの病気につながると考えられているのです。いわば腸内環境を整えることが健康には欠かせません。「加齢とともに腸の働きが悪くなり、便秘の状態がひどくなりやすいので意識して〝腸活〟していただきたいですね」
【ご存じですか?「便秘」のこと】
「便秘」ってどういうこと?
(一応の定義としては)
□3日以上排便がない
□毎日排便があっても、 残便感がある (出切れていない)
症状が患者の主観による部分が多いため、定量化が難しく明確な定義はない。
「便秘」の原因は?
□運動不足
□ストレス
□偏った食生活(食物繊維が不足)
□加齢による副交感神経の乱れ
→さまざまな要素が腸の正常な動きを阻害している
「便秘」が続くとどうなるの?
□腸内に悪玉菌が増える
□血流が悪くなる
□自律神経が乱れる
↓
*具体的な症状としては
□肌荒れ、吹き出物が出る
□イライラや不快感がある
□肩こり、腰痛、だるさ、疲労
□腹痛、おなかが張る
→脂質異常症、糖尿病、動脈硬化、 大腸がんとの関係性も指摘されています
取材・文/安達純子
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順天堂大学医学部教授。順天堂大学医学部卒。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科やトリニティ大学付属医学研究センターなどを経て、1995 年に順天堂大学医学部附属順天堂医院に「便秘外来」を開設。日本体育協会公認スポーツドクター。