「トイレに行く回数が増えた」「残尿感がある」などの症状、もしかしたら「膀胱炎」のせいかもしれません。今回は膀胱炎の予防方法について、医療法人 東和会第一東和会病院 女性泌尿器科・ウロギネコロジーセンター長の竹山政美先生に教えていただきました。
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免疫力の低下や冷えは大敵。陰部の清潔も心がけて
膀胱炎の主な原因は大腸菌などの細菌感染だとお話ししてきました。ですが、いつでも細菌感染が起こるわけではありません。では、どんなときに膀胱炎を発症しやすくなるのでしょう?
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「膀胱炎は、女性の2人に1人が一生に一度はかかるといわれる病気です。ですが、いつでも発症するわけではありません。かぜをひいていたり、疲労がたまっていたり、ストレスを感じていたりすると免疫力が落ちて膀胱炎にかかりやすくなります。また、生理中や性行為後は、膀胱に侵入した細菌が増殖しやすい環境になるため、発症しやすくなります」(竹山先生)
●膀胱炎を防ぐ3つのコツ
(1)免疫力を下げない
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱へと侵入するために起こります。かぜをひいていたり、疲れがたまっていたりして免疫力が低下すると、膀胱の中に侵入した細菌に抵抗できず、増殖を抑えることができません。また、下半身が冷えていると体の循環が悪くなり、免疫細胞の働きも低下します。冷房が効いた室内や寒い屋外での仕事が多い人は、腰周りを冷やさないように気をつけましょう。
(2)セックスの前後は清潔に
女性は男性と比べて尿道が短く、肛門と膣、尿道口が近い場所にあるため、セックスの際に大腸菌などの細菌を膣に押し入れてしまう場合があります。すると、膣内で細菌が繁殖して尿道口から膀胱へと入り込み、膀胱炎を引き起こします。セックスの前後にはシャワーを浴びる、性行為後は必ず排尿するなど清潔を心がけてください。また、かぜをひいていたり、疲れていたりするときは免疫力が低下しているため通常時よりも膀胱炎になりやすい状態です。このようなときは、セックスは控えて体を休めるようにしてください。
(3)生理用品はこまめに替える
膀胱炎の予防には、細菌が繁殖しないように陰部を清潔に保つことが大切です。生理用ナプキンやタンポン、おりものシートなどは、長時間取り替えずにつけていると、尿道の近くに細菌を繁殖させてしまう可能性があります。こまめに取り替える習慣を身につけましょう。
排便時におしりをふくときは、必ず前から後ろへ拭くことも覚えておきましょう。
抗生物質治療は薬を飲みきるのが大事
膀胱炎の治療は難しいものではありません。原因となる菌を退治すれば、炎症が治まり治癒します。
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「膀胱炎の治療では、抗生物質を処方することが一般的です。抗生物質を飲み始めると、膀胱内で繁殖していた細菌の数が減り、次第に炎症が治まっていきます。すると、つらかった症状も治まるため、患者さんによっては"もう大丈夫"と、処方された薬が残っているにもかかわらずやめてしまう人も少なくありません。ですが、実際には膀胱内の細菌は完全にはいなくなっていません。そのため、体の抵抗力が弱くなったときなどに、膀胱内に残っている細菌が再び増殖し、膀胱炎を繰り返してしまいます」(竹山先生)
膀胱炎の診断を受け、薬を処方されたら、必ず全て飲みきりましょう。そして、薬を飲み終わる頃、再度病院を受診して尿検査を受け、膀胱炎が治ったことを確認するようにします。「薬をやめる」「膀胱炎は治癒した」という判断は、自分で行うのではなく、医師の診断をあおぎましょう。
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取材・文/笑(寳田真由美)