厚生労働省は1月、65歳以上の肺炎球菌ワクチン接種に対する現行の公費助成の5年間延長を決定。2023年度まで引き続き、65、70、75歳といった5歳刻みの年齢に達するときに接種を受けた場合、費用の約3割を助成。本来、公費助成を受けられるのは65歳になるときだけですが、国は接種機会を増やすため、14~18年度限定で助成対象年齢の範囲を拡大していました。
適切なワクチン接種で肺炎の発症や重症化を予防
肺炎の主な原因は細菌やウイルスなどによる感染。中でも約3割が肺炎球菌によるものです。「風邪などをきっかけに免疫機能が低下したり、誤嚥によって食べ物やだ液と一緒に肺炎球菌を気管に吸い込んでしまうと、肺炎を発症しやすくなります」と、山本寛先生。
肺炎球菌による肺炎は、多くの場合、抗菌薬による治療で回復しますが、重症化すると命に関わることも。「65歳以上の方や持病がある方は、肺炎にかかると重症化しやすくなります。発症や重症化の予防には、かかりつけの病院などで肺炎球菌ワクチンを接種しておくことが大切です」(山本先生)
肺炎球菌ワクチンには、23価ワクチンと13価ワクチンがあります。23価ワクチンは23種の、13価ワクチンは13種の肺炎球菌に効果があります。
「65歳以上で23価ワクチンの接種歴がない人は、公費助成で接種できます。受けられるのは、65歳、70歳、75歳と5歳おき。予防効果は約5年のため、5年おきの接種が必要です。ただし、公費助成は最初の1回のみで、その後は自費となります。13価ワクチンは、自費での接種になります。こちらは体に免疫を記憶させる作用が高く、より長期的な予防効果が期待できるため、1回接種すれば十分です」(山本先生)。
肺炎予防には、合わせてインフルエンザの予防接種も毎年行うのが効果的。いずれも、ワクチンを接種した方がいいか、いつ受けるかなどは、かかりつけ医と相談して決めましょう。
●肺炎球菌ワクチンは2種類
肺炎球菌ワクチンには、23価と13価の2種類があり、それぞれ効果や接種のタイミングが異なります。
●ワクチン接種の方法
取材・文=笑(寳田真由美)