あなたは朝日を浴びている? 快眠のためには「朝の目覚め」にも気をつけよう

pixta_41905360_S.jpg60歳以上で不眠に悩む人は3人に1人に上ります。年を重ねるにしたがって食事や運動に気をつける人は増えますが、睡眠についてはないがしろにされがち。
しかし不眠を抱えていると、生活習慣病の発症率も上がると報告されており、睡眠は健康を維持するために欠かせない要素の1つです。

からだのしくみを知り、ぐっすりと眠る生活を始めるために、杏林大学名誉教授で日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦先生にお話を伺いました。

前の記事「ノンレム睡眠もレム睡眠もどっちも大事! 快眠で記憶力・学習能力をアップ(2)」はこちら。

 
ぐっすり眠るためのポイントは、昼間の体や脳の活動量を上げて、寝る前にはリラックスした状態で布団に入ることです。
「睡眠リズムは体内時計とリンクしています。体内時計は朝目覚めた時の太陽光など強い光によってリセットされ、1日のリズムを刻むしくみになっています。寝る前にスマホなどの強い光を浴びてしまうと、体内時計が乱れ、不眠につながるのです。体内時計も意識して、睡眠環境を整えましょう」と古賀先生はアドバイスします。

体内時計が乱れると、夜は眠れず、昼間に強い眠気に襲われるようになります。海外旅行の後に時差ボケするといわれますね。日本と諸外国で時差が大きいと、帰国したときに体内時計が乱れて時差ボケにつながります。海外へ行かなくても日常生活で体内時計が乱れると、時差ボケのようなことが起こるのです。それを解消するには、朝しっかり起きて太陽の光を浴びることが大切になります。

「遮光カーテンなどで、朝起きたときに真っ暗な部屋では、カーテンを開け、まず太陽の光を浴びるようにしてください。曇りの日は、部屋の電気をつけて目の中に光を入れると、体内時計が整います。布団の中で両手と両足の指で"グーパー"を繰り返すと、末梢神経からの刺激で脳が活性化され目覚めやすくなります」と古賀先生。

夜の快眠のためには、朝の目覚め方にも工夫が必要なのです。その上で、日中の活動量の向上、夜の睡眠環境を整えても、不眠の状態が続くようならば日本睡眠学会(※)の認定医に相談を。中には、「生活習慣病のかかりつけ医に睡眠薬を処方してもらう」という人もいますが、睡眠薬は様々な種類があり、副作用を伴うものもあるため、不眠治療に詳しい医師に処方してもらう方がよいそうです。

「睡眠薬は上手に使用すれば怖くはありません。薬のさじ加減を熟知した医師に相談しましょう」と古賀先生は話します。

また、毎日7~8時間眠っているのに、朝の目覚めが悪い人の中には、就寝中に呼吸が何度も止まる睡眠時無呼吸症候群を抱えている人もいます。睡眠時無呼吸症候群は、生活習慣病を悪化させ、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めます。ご家族などに大きな高いびきを指摘されたならば、適切な診断と治療を受けるとよいでしょう。一方で、眠れないことを気に病んで、ますます眠れなくなる精神性理性不眠に陥る人もいます。

「長く続く不眠を自己判断するのは禁物です。1日の3分の1の時間を費やす睡眠は、健康のために重要であることを認識していただきたい」と古賀先生。

さあ、今日から快眠生活を始めて、心身の健康を維持しながら楽しく過しましょう!

 

■知っておきたい達人のツボ 1

意外に怖い「睡眠時無呼吸症候群」とは?
睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間に舌の根や脂肪で気道が塞がって呼吸が止まり、呼吸を再開するために覚醒することを無意識のうちに繰り返します。特徴は大きないびきの後の無呼吸ですが、自覚はありません。睡眠リズムが乱れて慢性的な睡眠不足に陥るため、1日7~8時間寝ていても昼間に強い眠気を感じます。心筋梗塞や脳卒中のリスクが高く厚生労働省の報告では重症化したときの5年生存率は84%。命に関わることのある怖い病気といえます。

 

■知っておきたい達人のツボ 2

最近急増の「精神性理性不眠症」とは?
不眠解消で「なんとしても眠ろう」と気負い過ぎるのはよくありません。脳が興奮してかえって眠れなくなり、「眠れなかったらどうしよう」との不安が悪循環となり、慢性的な不眠に陥ります。これを精神生理性不眠症といいます。寝る前はリラックスを!

 

次の記事「寝室は真っ暗よりもほの暗い方が良い⁉ 快眠のためのオススメ生活習慣(4)」はこちら。

取材・文/安達純子 


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古賀良彦(こが・よしひこ)先生

日本ブレインヘルス協会理事長。杏林大学名誉教授。慶應義塾大学医学部卒。同大学病院を経て杏林大学医学部精神神経科学教室へ。1999年から主任教授。2016年より現職。うつ病などの治療を長年行い、睡眠と脳の関係なども詳しい。

この記事は『毎日が発見』2018年8月号に掲載の情報です。
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