更年期障害の症状の特徴を知りましょう/更年期障害(5)

更年期障害の症状の特徴を知りましょう/更年期障害(5) pixta_21525845_S.jpg40代半ばを過ぎて妙にイライラすると感じたら、更年期が始まっているかもしれません。更年期は、思春期と並ぶホルモンの大変動期で、疲労や肩こり、のぼせなど、これまで感じなかったさまざまな不調が起こりやすくなります。ひどくなると、更年期障害と呼ばれ、日常生活に支障をきたすこともあります。

この大変動期をできるだけ心地よく過ごすにはどうしたらよいのか、飯田橋レディースクリニック院長の岡野浩哉先生にお伺いしました。今回はその5回目です。

 

前の記事「更年期症状と更年期障害って、どう違うの?/更年期障害(4)」はこちら。

 
代表的な症状を知っておきましょう

更年期に起きる不調は人によってさまざまですが、なかでも代表的な症状について、具体的にご紹介します。

●ほてり、異常な発汗、顔面紅潮
更年期障害の典型的な症状で、ホットフラッシュと呼ばれます。急に顔が熱くなったり、汗が止まらなかったりします。夜、寝ている間に起きると、中途覚醒や早朝覚醒の原因となります。改善には、ホルモン補充療法が役立ちます。

●動悸
激しい運動をしたわけでもないのに、心臓がバクバクしたり、突然、息苦しくなったりします。更年期症状での動悸は自律神経の失調が原因とされ、実際に脈が飛んだり頻脈(ひんみゃく)(※1)になったりはしません。ただし、不整脈を中心とした循環器疾患や甲状腺の病気が隠れていることもありますので、医療機関を受診しましょう。
※1:頻脈/心拍数が増加している状態。 成人の安静時心拍数は、およそ毎分50~70回(bpm)ですが、100bpmを超える状態を頻脈といいます。

●めまい
一般に、更年期障害のめまいはゆっくりと左右に傾くように起こり、「フワフワした感じ」と評する人が多く見られます。ぐるぐるとした回転性や、ぐらぐら、ふらふらする動揺性のめまいは、メニエール病や突発性難聴(※2)など他の病気による可能性が高いです。
※2:突発性難聴/突然、耳の聞こえが悪くなり、めまいや耳鳴りを伴う場合があります。ストレスが原因のことが多く、1週間以内の早期治療が重要です。

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●疲労感
「何もする気が起こらない」「疲れやすい」「常に体がだるい感じがする」といった疲労感は多種多様な不調で起こるため、自覚しにくく、診断も困難です。原因となる病気がない場合、閉経や加齢による体調不良のほか、若い頃に比べて身体機能の低下が認められる年代にもかかわらず、仕事や家事が今まで以上に多忙になったり、責任のある職務を任されたりするなど、精神的なプレッシャーによって追い詰められて起こるケースなどによって疲労感が起こることも少なくありません。また、抑うつ症状と一緒に起こることも多く見られます。

●抑うつ症状
抑うつ症状は更年期の症状として多く見られますが、中には本当のうつ病が潜んでいる場合もあります。診断は、不眠や食欲低下、うつが起こる原因となったエピソードの有無などがポイント。更年期障害でのうつ症状の場合、抑うつを引き起こす明確なエピソードに欠けるという特徴があり、スーパーに買い物に行ったら買いたい物がなかなか決まらず手間取ってしまった、仕事が予定どおりに進まなかったといった、「今までこんなことくらいで落ち込むことはなかったのに」といった少しのストレスで症状が起こることもあります。

 

上記はどれも更年期によく見られる症状ですが、更年期障害とは異なる病気が隠れている可能性もあります。不安を感じたら、まずは婦人科を受診して医師の診察や検査を受け、原因を確かめておくことが大切です。

 

次の記事「更年期障害と間違いやすい病気にご注意!/更年期障害(6)」はこちら。

取材・文/笑(寶田真由美)

<教えてくれた人>
岡野 浩哉(おかの・ひろや)先生

飯田橋レディースクリニック院長。群馬大学医学部卒業後、同医学部附属病院産婦人科、 東京女子医科大学産婦人科などで臨床経験を経て、平成20年に飯田橋レディースクリニック設立。 「患者にやさしい医療」をモットーに、新聞・雑誌等メディアへ執筆多数。

 

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