普段はあまり気にすることのない、足の爪。小さなパーツですが、変形したり、色が変わったりしていませんか? 巻き爪をはじめとする足の爪の異常は、実は歩き方や姿勢などの生活習慣や外反母趾など、さまざまな要因の積み重ねから複合的に起こっているもの。大したことないと思っていると、やがて強い痛みを伴い、歩行困難にもつながるので、注意が必要です。
さまざまな足の爪の異常やその原因、正しいセルフケアの方法を、皮膚科医で、「日本フットケア学会」の理事も務める高山かおる先生にお聞きしました。
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靴の履き分けのほかインソールの使用も効果的
足や爪のトラブルには靴が大きく関係しています。自分の足に合わない靴を履いて足が痛くなったり、「巻き爪」や「外反母趾(がいはんぼし)」になったりする人も多いのではないでしょうか。
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「日本人は靴に対する認識が足りません」と、高山先生は言います。靴はもともと足を保護し、体重を支える、歩く時に体のバランスを取る、地面からの衝撃を和らげるといった足の機能をサポートするために考案された"道具"です。
靴を履いていた歴史の長いヨーロッパでは、足に合わない靴が体に悪影響を及ぼすことを、一般の人でもよく知っています。しかし、靴の歴史が浅い日本では、一般的にはファッションアイテムの1つと思われているようです。
よい靴の条件の1つとして、高山先生は「かかとのしっかりした靴」を選ぶようにアドバイスしています。かかとがフニャフニャした靴は、着地の時に体が左右にぶれやすく、歩くたびにひざに大きな負担がかかります。足にトラブルがある人はそもそも体がゆがんで不安定なのに、そういった靴を履くとさらにゆがみがひどくなってしまいます。
【自分に合う靴を選ぶ4つのポイント】
大事なのは、自分の足の特徴をよく知ること。足は大きさ、横幅、甲の高さ、指の長さなど、一人一人異なります。それに対して靴は、JIS(日本工業規格)で足長(そくちょう/足の長さ)と足囲(そくい/足の幅)のサイズが決められています。
ですから、選ぶ時には履いた時のフィット感や足の当たり具合をよく確認します。足の形は左右で若干異なるので、必ず両足で試し履きし、実際に歩いてチェックしましょう。
(1)足先にゆとりがある
5本の指が自由に動かせると、足指できちんと地面をつかむことができます。「外反母趾」や「内反小趾(ないはんしょうし)」の予防にも。
(2)指のつけ根が曲がりやすい
親指と小指が押さえつけられず、緩すぎないこと。足指が曲がる部分と、靴底の曲がる部分が一致していること。
(3)かかと周りが合っている
かかとの後ろに足の小指が入るくらいのゆとりがあり、かかとがきちんと覆われていると、安定した着地ができて疲れません。くるぶしが履き口に当たらないことも大切。
(4)甲周りが合っている
甲が圧迫されず、ひもやベルト、ストラップなどで甲周りを調整できること。甲がきちんと押さえられていると足のアーチを保持できます。
【上手な靴の履き方】
靴はTPOで履き分けます。例えば、パンプスは歴史をたどると室内履きで、長時間の歩行には向いていません。通勤時はウォーキングシューズを履いたり、結婚式やパーティーなどにはドレッシーなパンプスを持参したりするといいでしょう。
「巻き爪」や「陥入爪(かんにゅうそう)」、「外反母趾」などで悩む人には、足の機能を研究して作られた「コンフォートシューズ」もおすすめです。甲の部分が保持され、靴底がアーチ構造になっているため、足の疲れを軽減し、歩く機能をサポートしてくれるので、治療に取り入れる医療機関も増えています。病院が足のトラブルに詳しい靴店を紹介してくれる場合もありますし、専門店や通信販売などで買うこともできます。
機能性だけでなく、パンプスタイプなどのおしゃれなデザインも多くなっているので、一度試してみるのもよさそうです。
【インソールの上手な使い方】
高山先生は、足にトラブルのある人にインソール(靴の中敷き)もすすめています。歩行・走行の際に足裏やかかとに伝わる衝撃やねじれなどを分散・吸収し、足腰への負担を軽減します。
●既製品
「外反母趾用」「開張足用」「衝撃吸収タイプ」などのほか、足囲を調整する「ワイズパッド」や足のアーチを保護する「アーチパッド」など、種類はさまざま。自分の足の状態に合わせて選びます。
●オーダーメイド(治療用)
「巻き爪」や「陥入爪」などで痛む足や外反母趾などで変形した足には、インソールを使って治療する場合もあります。病変部にかかる圧力を分散する「免荷(めんか)療法」という治療法の1つで、痛みを緩和させて、足裏のバランスを整え、正しい歩行に導くなどの効果が期待できます。
専門の技術者に足型を取ってもらい、自分用に作るもので、価格はセミオーダーで1足17,000円前後~、フルオーダーで1足30,000円前後~が目安。
足の変形があれば、医療保険が適用される場合もあり、その際は医師の診断書が必要となります。
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取材・文/岡田知子(BLOOM)