足を清潔に保つには歯ブラシと石鹸で洗うのがいちばん/足の爪の変形

足を清潔に保つには歯ブラシと石鹸で洗うのがいちばん/足の爪の変形 pixta_6269783_S.jpg普段はあまり気にすることのない、足の爪。小さなパーツですが、変形したり、色が変わったりしていませんか? 巻き爪をはじめとする足の爪の異常は、実は歩き方や姿勢などの生活習慣や外反母趾など、さまざまな要因の積み重ねから複合的に起こっているもの。大したことないと思っていると、やがて強い痛みを伴い、歩行困難にもつながるので、注意が必要です。

さまざまな足の爪の異常やその原因、正しいセルフケアの方法を、皮膚科医で、「日本フットケア学会」の理事も務める高山かおる先生にお聞きしました。

前の記事「爪の切り方は"スクエアカット"が理想です/足の爪の変形(11)」はこちら。

 

洗ったあとはきちんと拭いて保湿も忘れずに

足の爪の正しい切り方と共に、ぜひ実践したいのが、足を清潔に保つことです。毎日お風呂に入っていても、意外と足はきれいに洗えていないもの。指の間や爪のまわりは意識しないと洗い忘れてしまいがちです。

高山先生によると、「足を清潔に保つことは、あらゆる足の病変を予防する第一歩となり、軽い炎症程度なら、足をきれいに洗っているうちに治る場合も多くあります。また、毎日足に触れて洗うことで、ちょっとした変化にも気づくことができ、トラブルや異変を早いうちに見つけることができます」。

きれいに洗ったあとは、水分の拭き方や保湿にもちょっとしたコツがありますが、慣れてしまえば、難しいことではありません。毎日正しくケアして、足をトラブルから守る習慣を身につけましょう。

 
【手で洗う】
少量の石けんをよく泡立てて、スポンジやタオルで足全体を包むように、丁寧に洗います。石けんをよく泡立てることできめ細かな泡が汚れを浮き上がらせるので、ゴシゴシこする必要はありません。

指と指の間は白癬菌などに感染しやすいところなので、手の指を差し込んで1本ずつきちんと洗います。


【ブラシで洗う】
爪と指の間、爪の側面、爪の生え際などは古い角質や汚れがたまりやすいので、週に2~3回、ブラシを使って洗います。市販されている足裏用のブラシがおすすめです。
足裏用のブラシがない場合は、代わりに歯ブラシを使います。歯ブラシは、皮膚を傷つけないように柔らかく、毛先がまっすぐな新しいものを使い、使い古しの歯ブラシはやめましょう。1本を家族みんなで使ってもよいですが、爪白癬や足水虫がある人は、感染を防ぐためにその人専用のブラシを用意します。

この場合も、よく石けんを泡立てて優しく洗います。古い角質がたまりやすい親指の爪溝(爪の両端と皮膚の間の溝)は念入りに洗うようにします。


【水分をよく拭き取る】
お風呂から上がった時、足をきちんと拭いていますか? バスマットの上に乗っただけで済ませていませんか?

せっかく足をきれいに洗っても、水分が皮膚に残ったままだと、その水分が蒸発する時に皮膚が乾燥してしまいます。また、指の間に水分が残っていると不衛生になり、湿疹のほか、白癬菌やカンジダなどの感染のもとになったりします。

お風呂から上がったら、指と指の間、爪の周りを1本ずつ、よく乾いた清潔なタオルで丁寧に拭き取ります。こすらずに優しく押さえて、タオルの繊維に水分を吸収させるようなイメージです。

タオルは皮膚や爪を傷つけない柔らかいものを選び、バスマットもこまめに洗濯してよく乾燥させておきましょう。

 
【保湿する】
足に残った水分をよく拭いたら、忘れずに保湿をします。お風呂上がりの足だけでなく、普段でも乾燥した爪や皮膚はバリア機能が低下し、かゆみや湿疹などトラブルの原因になります。保湿効果のあるクリームなどでしっかり保湿します。

クリームは乾燥しやすいすねやかかとはもちろん、足の裏から指先までまんべんなくつけます。皮膚の繊維(横じわ)に沿って優しくすり込むのがコツです。
その際、爪やその周囲にも忘れずにクリームをすり込みます。爪専用のオイルやジェルなどもありますが、普通のハンドクリームでも十分です。

保湿クリームには、以下のようなものがあります。肌や爪の状態に合わせて選ぶとよいでしょう。

●尿素入りクリーム...硬くなった角質やかかとなどのガサガサをなめらかにする

●ワセリン...外部の摩擦や刺激から肌を保護して乾燥によるかゆみ、ひび割れ、ささくれなどに効果を発揮する

●ビタミンE配合クリーム...血行促進作用があり、血行障害による肌荒れやしもやけに

●ヘパリン類似物質含有クリーム...皮膚の成分を保たせる成分を含み、保湿力が高い。アトピー性皮膚炎のほか、乾燥肌、しもやけ、血行障害による肌荒れなどを改善

 

次の記事「足のタイプに合った正しい靴を選べば爪は変わります/足の爪の変形(13)」はこちら。

取材・文/岡田知子(BLOOM)

 

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高山かおる(たかやま・かおる)先生

医師・医学博士。済生会川口総合病院皮膚科主任部長、東京医科歯科大学臨床准教授。接触性皮膚炎、フットケアを専門とする。難治性の巻き爪、陥入爪、肥厚爪などの疾患に対し、トラブルの根治を目指した原因の追求、診察、専門治療のほか、セルフケアの指導を行う。「100歳まで自分の足で歩ける社会」を目的に発足した「足育研究会」の代表、日本フットケア学会の理事を務め、フットケアの啓発活動も行っている。著書に『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』(マキノ出版)、監修に『皮膚科医が教える本当に正しい足のケア』(家の光協会)

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