がんを治療するために理解しておきたい「4段階のステージ」

「2人に1人がかかる」と言われるほど身近な病気である「がん」。ただ、断片的な情報は知っていても、検診や予防、基礎知識など「実はよくわかっていないのよね」という人も多いのではないでしょうか? そこで「がんにまつわる気になる疑問」を、最新の知識を備えたがん治療のスペシャリスト・明星智洋先生に尋ねた注目の新刊『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(すばる舎)から一部を抜粋、最新の「がんの知識」を連載形式でお届けします。

pixta_17109709_S.jpg治せるがん、治せないがん、ステージについて教えてください!

――では、ここからは自分も含め、家族などの身内がもしもがんになったら......ということで、実際にがんであることがわかったときの話を聞かせてください。
そもそも、がんになったら治療できるものなんですか?

明星先生 以前は、がん=死というイメージがあったかもしれませんが、最近では医療技術もずいぶん進み、必ずしもがん=死ではなくなってきています。

――治るがんと治らないがんの違いはあるんですか?

明星先生 がんが治るかどうかは、そのがんのステージやがんの種類、患者さんの状態によって異なってきます。

――ステージってよく聞く言葉なんですが、どんな違いがあるんでしょう?

明星先生 がんのステージはがんの種類によってそれぞれ細かく分類が定められています。多くの場合は、ステージⅠからIVまでの4段階に分けられます。

――それぞれ教えていただけますか?

明星先生 はい、説明していきましょう。まずステージIは、がんがその場所だけにあり、他にリンパ節などが腫れていない状況で、手術によってかなりの確率で治癒を目指せます。

ステージIIは、がんのある部位の近くのリンパ節が腫れているような状況で、手術の際に少し範囲を広げて切除する必要があります。しかし、これも多くの場合は治癒を目指すことができる手術になります。

ステージIIIは、腫瘍(しゅよう)のサイズが大きく広がり、リンパ節転移も多数あるような状況です。手術ができないこともあるし、もし手術できたとしてもその後再発率が高くなる状況です。そのため、手術後に再発予防として化学療法を行うこともあります。

ステージIVは、離れた臓器にも転移しているような状態で、通常は治癒的な切除はできません。つまり、抗がん剤治療が選択されることが大半です。

――なるほど、治療で抗がん剤を使っていくのはステージIII以降というわけですか!

明星先生 はい。そうなんです。ステージが進行するごとに治療の難易度が高まっていくので、早期発見、早期治療が原則というわけです。ステージIVまで達していない場合であれば、手術や放射線治療、抗がん剤治療を組み合わせることで治癒を目指せる可能性が十分にあると思われます。

――白血病もがんの一種だと聞きましたが、白血病の場合は血液が問題なわけで、手術ができませんよね?

明星先生 白血病や悪性リンパ腫といった血液がんは抗がん剤治療が基本になります。実は血液がんの場合は抗がん剤がとっても効きやすく、ステージが進行していても十分に治癒できる可能性があるんです。

――おお!それは希望が持てる話です。

明星先生 まとめると、固形がんのステージ~IIIと、血液のがんはステージIVでも治る可能性があるということです。

――がんと言えば再発というキーワードをよく聞きますけど、いったいどんな段階で「治った!」と言えるものなんでしょう?

明星先生 がんを治療したあと、CTや内視鏡検査、PET検査などで画像検査をしたとき、がんが確認できなくなった状態を「寛解(かんかい)」と呼びます。

――寛解......難しい言葉ですけど、つまりもうがんは消えてない状態、ということですよね?

明星先生 はい、ただし、あくまでもCTなどの画像上では、という話です。細胞1個1個のレベルまで検索できているわけではないので、まだ再発する可能性がある状況です。では、いつ「治った」と言えるかというと、この寛解状態が5年間継続したとき、再発のリスクは極めて低いと判断して、初めて治癒という言葉を使うことが多いです。

――がんが確認できなくなってから5年で治癒なんですね。

ただ、中には5年を越えて再発してくるタイプのものもあるので、その場合は、主治医と相談して、フォローの期間を延ばすこともあります。

【まとめ】
大半のがんは、ステージIIIまでなら治癒できる可能性がある。
ただし、血液のがんはステージIVでも治癒可。

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9784799108369 (2).jpg「がんは遺伝する?」「仕事はやめなきゃいけない?」「感染するがんがあるって本当?」など、40を超えるテーマについて専門医に質問、対話形式でわかりやすくまとめられています

 

 

明星智洋(みょうじょう・ともひろ)

江戸川病院腫瘍血液内科副部長 兼 感染制御部部長。東京がん免疫治療センター長。MRT株式会社 社外取締役。1976年岡山県生まれ。高校生の時に、大好きだった祖母ががんで他界したことをきっかけに医師を目指し、熊本大学医学部入学。その後、医師国家試験に合格。血液悪性腫瘍およびがんの化学療法全般について学ぶ。血液専門医認定試験合格、がん薬物療法専門医最年少合格。専門は、血液疾患全般、がん薬物療法、感染症管理。現場と最新の医療情報を知る医師の観点から情報を発信している。

 

松本逸作(まつもと・いっさく)

作家、ライター。年間ベストセラーランキングに入る実用書やビジネス書をはじめ、サブカルやグルメを扱ったウェブ記事、漫画原作など、多岐にわたる媒体・ジャンルでマルチに活躍。


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『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』

(明星智洋、松本逸作/すばる舎)

予防法は?早期発見するには?身近な人がかかったら?最適な治療法は? そんな疑問を、最先端の治療に携わり、数多くの有名人も治療してきた名医が、現場の知識と最新の研究もふまえ「おすすめの病院」まで教えてくれます。対話形式でわかりやすい構成が魅力の「がん」に備える入門書として最適の一冊です。

※この記事は『先生!本当に正しい「がん」の知識を教えてください!』(明星智洋、松本逸作/すばる舎)からの抜粋です。
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