小学生の5人に2人は「便秘予備軍」!? 学校生活で「便ためトレーニング」してしまう危険性

その日の便はその日のうちに

「出口の便秘」の慢性化で便意を感じないおしりに

「出口の便秘」は、便意を我慢することから始まります。最初はわずかな便にも違和感を感じていた直腸や肛門が、何度も便意を我慢していくうちに便をためることが習慣化し、次第に「そこに便があるのに感じないおしり」=「鈍感便秘」となっていきます。

自分ではなかなか気づきにくい性質をもつ鈍感便秘ですが、毎日排便があるのに痔などのトラブルを抱えている場合は該当している可能性が高いので要注意です。また、症状が進むと数日排便がないことも多く、「おなかの便秘だから腸活しなきゃ!」と勘違いしやすいのも特徴です。

便ため習慣によるおしりのトラブル続出

出口の便秘や鈍感便秘でもっとも多くあらわれるトラブルは、出口に残った出始めの硬い便が排便のときに肛門の皮膚を傷つける「切れ痔(裂肛(れっこう))」です。そのほかにも、「キレイに拭けない問題」や、拭きすぎ、洗いすぎによる「温水洗浄便座症候群」、下着を汚す「ニセ便失禁」や「かゆみ」、便が硬くなり痛くて排泄が困難になる「便栓塞(べんせんそく)(糞詰(ふんづ)まり)」など、さまざまな症状の誘因となります。こうしたトラブルを予防するためにも、まずは便ため習慣を自覚し、出残り便をつくらないようにしましょう。

たまっているのに感じないカラダに

小学生の5人に2人は「便秘予備軍」!? 学校生活で「便ためトレーニング」してしまう危険性 たまっているのに感じないカラダに

常に出残り便を抱えた状態は、カラダに便をためるトレーニングをさせているということ。カラダは次第に排便のサインを出さなくなる。

 

佐々木みのり
1912年創立、110年以上の歴史を持つ大阪肛門科診療所の副院長。肛門科女医の草分け的存在。1994年大阪医科大学を卒業後、大阪大学皮膚科学教室に入局。その後、4年間、大阪大学附属病院、大手前病院、東京女子医大病院などで皮膚科医として勤務した後、1998年に肛門科医に転身。同年7月には日本初となる「女医による肛門科女性外来」を開設。「痔=手術」という肛門医療業界において、痔の原因となった「肛門の便秘」を直すことによって「切らない痔治療」を実現。また、元皮膚科医という経歴を持つ異色の肛門科医として、同業の医師を対象に多数の講演を行っている。『痛み かゆみ 便秘に悩んだら オシリを洗うのはやめなさい』(2020年あさ出版)は3万部超えのベストセラーに。「2時ドキッ!」「おはよう朝日です」「痛快!明石家電視台」「世界一受けたい授業」などのテレビほか、多数のメディア出演あり。

※本記事は佐々木みのり著の書籍『便秘の8割はおしりで事件が起きている!』(日東書院本社)から一部抜粋・編集しました。

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