腰痛、手足のしびれ、不眠がなかなか治らない...その原因、実は「右脳と左脳の働きのバランスが崩れている」のかもしれません。そこで、石井克昇さんの著書『不調が消え去る脳バランス体操 右脳と左脳の働きが一瞬で整う』(KADOKAWA)より、左右の脳機能の働きをチェックし、機能が低下した側に刺激を加える健康法「脳バランス体操」についてご紹介します。
心の根っこにある感情に目を向けよう
実は、イップスだけでなく、しつこい痛みや不調についても当てはまることです。
慢性痛をもたらす背景には、社会心理的な要因が深く関係しています。
私たちの体の中には、痛みを抑制する複数のシステムが存在します。
ところが、心理的なストレスがあり、ネガティブな感情が意識下に潜伏している状態が続くと、そのストレスが痛みを抑制するシステムの機能を妨げ、痛みをより強く感じさせるのです。
脳バランス体操を続けても効果がなかなか出にくい場合、ネガティブな感情や、マイナス思考を引き起こす元になっている記憶・出来事が、あなたの中のどこかに残っている、と考えられます。
症状がなかなか治らずに悩んでいる人は、ぜひ一度、自分自身を振り返ってみてください。
イップスのケースと同様に、自分の心の根っこにあるものに気づき、それを認めると、とたんに心も体も楽になります。
治りにくかった症状が一気に快方に向かうことも、少なくありません。
看護師のBさんは、長年、足のしびれに悩んでいました。
カウンセリングの中で、Bさんは次のように話してくれました。
「上司から、主任試験を受けなさいと言われたんです。主任になったら、プライベートの時間がなくなってしまうのでは、と心配になりました」
「私はがんばりすぎるほうなので、ひょっとしたら、これがしびれの原因だったのかもしれません。足をしびれさせて、『少し休みなさい』と脳が伝えているのかも」
「私って、いつもアクセルとブレーキを同時に踏んでいる感じなんです。主任になることで孤独になりそうだし、部下から嫌われる勇気がまだ持てないし」
「やってみたい気持ちと、やってみることの怖さ。主任の仕事で時間が取られて、子どもが犠牲になってしまうのではないか。自分が好きなことをすることで、子どもが寂しい思いをするのではないか」
アクセルとブレーキを同時に踏んでいる──。
そういう自分のあり方に、Bさんが気づいたことが治癒への大きなきっかけとなりました。
こうした話をした後、Bさんの症状はみるみるよくなり出したのです。
「ああ、そうだったんだ」と納得できる(これも気づき。認めることの1つの形)と、脳バランス体操の効果も出やすく、経過はより順調になっていきます。
腰痛で歩けなくなった経営者。スタスタ歩けるほど回復!
Oさん(38歳・男性)は、IT企業の経営者。
数年前から腰が痛くて、3分以上まともに歩くことができませんでした。
脊椎専門の病院から、整体院や鍼灸院等々、これまで10カ所以上の病院や治療院に行っても、よくならず。
その後、当院にやってきました。
腰部の可動域制限があり、左の股関節の動きも悪く、左の梨状筋(りじょうきん、お尻の筋肉)もひどく硬化していました。
アクティベータによる施術を行うと、著しい効果がありました。
施術前の痛みを10とすると、1週間たたないうちに、3まで痛みが激減。
2週間で、Oさんは重たい荷物を持たなければ、普通に歩ける状態になりました。
「ただね。歩けないといいこともあるんですよ。だって、接待ゴルフに行かなくても済むでしょ。めんどくさいもんね、接待って」
カウンセリングの中で、Oさんはそんなことも話してくれました。
ときに、病気を持つことが、本人にとって都合のよいこともあります。
こういう事情が裏に隠されているために、治ることができないというケースもあるのです。
「でも、ここで施術を受けて、初めて効果を感じたことは事実です。病院など10軒以上を回って、ちっともよくならなかったのにね」
慢性化した痛みというものは、すり傷のように単純なものではありません。
だからこそ、私はカウンセリングを重視し、脳バランスの調整と併せて、患者さんの気づきを重んじるように心がけているのです。
次のような例もあります。
Pさん(53歳・女性)は、会社員。
20年以上前から不眠に悩み、10年ほど前からは、めまい、ホットフラッシュなどの不定愁訴も加わりました。
婦人科では、更年期障害と診断されて通院していましたが、改善せず。
Pさんは、対家族の関係で、多くの葛藤を抱え、悩んでいました。
さまざまのネガティブな感情が彼女の不定愁訴を強めてしまっていたのは間違いないでしょう。
脳バランスの考え方に沿って治療を進めながら、カウンセリングも続けていきました。
すると、それまではっきりとは意識していなかったものの、彼女の深層にあった意識が浮かび上がってきました。
Pさんには、家族のために自分が犠牲になっている、という意識が強かったのです。
そういうことが少しずつわかってくる、というより、言葉にすることができるようになると、Pさんはとたんに体調がよくなってきました。
「自分の心を整理するだけで、体が楽になってくるんですね」
2カ月ほどで、Pさんの症状のほとんどが軽快しました。
治ることを邪魔しているものは、あなたの脳の中にあります。
自分自身と対話することで、それを見つけてみましょう。
潜在意識の中に、自分の心身に大きなストレスを与えているような感情や思考、過去の出来事が潜んでいないかどうか、じっくり考えてみてください。
6章にわたって、左右の脳機能のバランスを整えて不調を改善する「脳バランス体操」について解説しています!