「左右の脳機能の差」が痛みや不調に!? 心身に影響を及ぼす「脳バランスの乱れ」とは

腰痛、手足のしびれ、不眠がなかなか治らない...その原因、実は「右脳と左脳の働きのバランスが崩れている」のかもしれません。そこで、石井克昇さんの著書『不調が消え去る脳バランス体操 右脳と左脳の働きが一瞬で整う』(KADOKAWA)より、左右の脳機能の働きをチェックし、機能が低下した側に刺激を加える健康法「脳バランス体操」についてご紹介します。

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痛みや不調の原因は脳にあった!

「同じ症状の人に同じ施術をしても、効果のある人と効果の出ない人がいるのはなぜか?」という疑問に立ち戻ってみましょう。

皆さんはどう考えますか?

なかには、非常にシンプルに考えて、「それは当たり前でしょう。人はそれぞれ違うんだから」という意見があるかもしれません。

それは、ある意味、正解と言ってもいいでしょう。

「人はそれぞれ違う」=「人の脳はそれぞれ違う」ということです。

カイロプラクティックでは、神経の流れが悪くなることによって筋肉や関節に不具合が生じ、痛みや不調が生じると考えられていますが、脳についてはほとんどタッチしません。

しかし、本来、脳が指令を出しているからこそ、神経の流れが生じ、かつ、神経の流れの滞りも起こります。

脳になんらかの問題があって、神経の流れが悪くなっているとすれば、そして、それが痛みや不調を引き起こしているならば、痛みや不調の真の原因は、そもそも脳にあるということになります。

こうして私は、治りにくい痛みや不調の根本的な原因として、脳の機能不全を検討するようになりました。

そして、最新の脳科学、コーチング理論、認知行動療法といった多くの知識を援用し、私は1つのとっかかりを見つけました。

それが、「脳バランス」の考え方です。

脳の機能は左右対称ではない

皆さんも、大脳が右脳と左脳の2つに分かれていることはご存じでしょう。

また、右脳と左脳で、それぞれ役割分担があり、違う機能を果たしていることもよく知られています。

右脳と左脳から出ている神経は、途中でクロスしているため、右脳が左半身、左脳が右半身を支配しています。

右脳は、主に五感で感じたことを、直感的かつ総合的に認識します。

記憶する領域が左脳に比べて大きく、長時間の記憶も得意です。

見たままのイメージで記憶するので、「イメージ脳」や「感覚脳」とも呼ばれます。

左脳は、文字や言葉を処理することから「言語脳」と呼ばれます。

直感的な右脳と違って、論理的思考や分析・推論によって物事を捉えます。

ただし、脳は左右に完全に分断されているわけではありません。

右脳と左脳は脳梁(のうりょう)でつながっており、左右の脳は、通常、協調しながら機能しています。

この左右の脳機能に差が生じてくることがあるのです。

また、新しい脳研究によって、そもそも左右の脳が同時に育つのではないこともわかってきています。

生まれてから最初の数年間は、右脳が優先的に育つとされています。

続いて、左脳が育つ時期がやってきます。

この時期に、右脳もしくは左脳の成長がなんらかの原因で阻害されると、それが後の発達障害につながるのではないか、という指摘もあります(『薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方』ロバート・メリロ著、クロスメディア・パブリッシング刊)。

要するに、脳バランスの乱れは、私たちの心と体と行動に大きな影響を及ぼすということです。

脳の発育時の問題は、とりあえず脇に置いておくとしても、皆さんの脳は、それぞれ個性があり、そこには、右脳と左脳の使い方、及び、機能性の違いが関係していると考えられます。

イメージでパッと全体を捉えるのが得意なタイプ(いわゆる右脳優位)もいれば、なんでもキッチリと計算立てて動くタイプ(左脳優位)もいます。

もちろん、こうした左右の機能性の差は、健康問題にはつながりません。

ただし、なんらかの負荷がかかることによって、脳の働きに悪影響が出てくることがあります。

脳内には、当然のことながら、右脳内のそれを構成する神経どうしの連絡があり、左脳内も同様です。

また、左右の脳の間にも、脳梁を通じて密接な連絡があります。

この脳の統合状態が保たれ、神経どうしの連絡がすみやかに行われることで、私たちの心身は健全に働くわけです。

しかし、脳に強い負荷がかかることで、それに支障が生じてきます。

右脳内の神経どうしの連絡、左脳内の神経どうしの連絡、及び、左右の脳の相互の神経の連絡に滞りが生じたり、特定の部位に過剰な反応が起こったりすると、脳の統合状態がくずれ、問題が生じてくるのです。

こうして起こる深刻な問題の1つが、「左右の脳機能のバランスの乱れ」というわけです。

わかりやすく言えば、以下のようなパターンが考えられます。

  • 右脳よりも左脳の機能が落ちてしまう
  • 左脳よりも右脳の働きが落ちてしまう
  • 左右の脳機能が両方とも落ちてしまう 

 

【脳機能が衰えるパターン】
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右脳よりも左脳の機能が落ちてしまう

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左右の脳機能が両方とも落ちてしまう

その結果として、脳から送られる指令、すなわち、神経の流れが滞ります。

それが体に如実に影響を与え、関節や骨、筋肉にも問題を引き起こしていく──。

しつこい痛みや不調の背景に、こうした脳バランスの乱れがあるのではないかと、私は考えるようになりました。

そうだとすれば、脳自体の問題を解決しなければ、脳の機能低下の結果として起こる痛みや不調は解決できないことになります。

このような考えをベースに、私は脳バランスの調整を行う施術を始め、かつ、患者さんにも、脳バランスを整えるセルフケアを指導するようにしました。

すると、治りにくかった症状がどんどん改善し始めたのです!

イラスト/橋爪かおり、i and d company

【まとめ読み】『不調が消え去る 脳バランス体操』記事リスト

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6章にわたって、左右の脳機能のバランスを整えて不調を改善する「脳バランス体操」について解説しています!

 

石井克昇(いしい・かつのり)
石井堂クリニカルオフィス・石井堂街の接骨院代表。柔道整復師。米国やカナダで信頼を得ている施術法「アクティベータ・メソッド」を駆使した治療を行う。神経学、東洋医学、心理学、コーチング、脳の誤作動記憶の調整法(心身条件反射療法)を学び、不調な心身を健康へと導くセルフケア「脳バランス体操」を開発。治療院には一流アスリートやアーティスト、モデルなど多くの著名人も訪れる。

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『不調が消え去る脳バランス体操 右脳と左脳の働きが一瞬で整う』

(石井克昇/KADOKAWA)

左右の脳機能のバランスを整えて、長引く痛みや不調を改善する「脳バランス体操」を紹介しています。簡単なやり方で、右脳と左脳どちらの機能が低下しているかをチェックし、低下した側に刺激を入れることで、右脳と左脳の働きが一瞬で整います。神経学、東洋医学、心理学、コーチングを学んだ著者による、まったく新しいアプローチの健康法で話題の一冊です。

※この記事は『不調が消え去る脳バランス体操 右脳と左脳の働きが一瞬で整う』(石井克昇/KADOKAWA)からの抜粋です。

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