腰痛、手足のしびれ、不眠がなかなか治らない...その原因、実は「右脳と左脳の働きのバランスが崩れている」のかもしれません。そこで、石井克昇さんの著書『不調が消え去る脳バランス体操 右脳と左脳の働きが一瞬で整う』(KADOKAWA)より、左右の脳機能の働きをチェックし、機能が低下した側に刺激を加える健康法「脳バランス体操」についてご紹介します。
これでマスター! 脳バランス体操Q&A
脳バランス体操に関して、患者さんからいただいたことのある質問についても紹介しましょう。
Q1:チェックテストで異常な反応が出なければ、脳機能は問題ないですか?
慢性的な症状に悩んでいる人は、チェックテストをすると、たいてい、はっきりと脳機能の低下がわかるものです。
もし、チェックテストをしても異常が出ない場合は、脳のバランスに大きな問題はないと考えてよいでしょう。
しかし、脳の働きは絶えず変化しています。
「自宅でのチェックテストでは異常の出ない人が、職場でやってみると異常が出る」とか「誰かに見られている状況では、とたんに結果が変わる」ということもありうるのです。
逆に言えば、こうした観点から、自分の脳の働きが低下しやすい場面を知ることもできるでしょう。
なお、健康状態に悪いところがなく、脳バランスのチェックテストでも問題がないという人も、チェックテストやぐるぐる体操を、できれば毎日続けてください。
私たちの健康状態は、日々、微妙に変動しています。
「昨日はなんともなかったのに、今日はVORテストがうまくできない」というようなこともしばしば起こりうるのです。
脳バランス体操は、日々の健康管理法のような役割も果たせるでしょう。
しかも、毎日続けていけば、ぐるぐる体操に加えて、チェックテスト自体も脳へのよい刺激となり、脳機能低下の予防効果も期待できます。
Q2:体操やチェックテストを行うのに適さない時間帯はありますか?
チェックテストやぐるぐる体操は、原則として、いつ行ってもかまいません。
ただし、いくつか注意点があります。
寝起きに片足立ちテストをすると、寝ぼけて転倒するリスクがゼロではありません。
起きてすぐの片足立ちは避けたほうがよいでしょう。
また、就寝前に、チェックテストやぐるぐる体操をすることも、あまりお勧めできません。
テストを行っているうちに、テンションが上がってしまう人がいるからです。
テンションが上がれば自律神経の交感神経が優位となり、自然な眠気をもたらす副交感神経が優位の状態から遠ざかてしまいます。
その場合、寝つきにくくなりますから、就寝前は避けたほうがよいでしょう。
また、「体の状態をできるだけ客観的に調べる」という観点からは、入浴後もあまりお勧めできません。
入浴によって筋肉や関節が温められると、関節の可動域が広がり、平時よりも動かしやすくなります。
そうなると、こわばりがあり、可動域が狭くなっている箇所が発見しにくくなるというマイナス面があるからです。
Q3:どのくらいの期間、続けるのがいいですか?
チェックテストやぐるぐる体操で、異常が出ているうちは、毎日刺激を入れ続けてください。
チェックテストとぐるぐる体操の両方とも、異常がなくなるまで続けるのが理想的です。
そして、これまでもお話ししてきたとおり、異常がなくなってからも、健康管理のために脳バランス体操を続けていくことをお勧めします。
Q4:深呼吸とウォーキングがセットになっているのは、なぜですか?
酸素、栄養素、刺激。
この3つがそろっていないと、神経細胞がきちんと働きません。
高齢者が骨折して動けなくなると、筋肉からの刺激が脳に届きにくくなります。
加えて、寝ている時間が長くなることで血流も低下しますから、じゅうぶんな酸素や栄養素も、脳の神経細胞に供給されません。
その結果、寝たきり→脳の機能低下→認知症と否応なく進んでしまいます。
そこで、まず深呼吸を行い、じゅうぶんな酸素を脳に送り込むことが重要です。
ウォーキングも、歩くことで関節の受容器から刺激が入り、神経を介して有効な刺激が脳へ伝えられます。
加えて、歩けば血流がよくなるので、脳に酸素と栄養素がじゅうぶんに送り届けられます。
このように、深呼吸や軽い運動であるウォーキングを併用し、酸素や栄養素をきちんと脳に送り届けることで、脳バランス体操の刺激が伝わりやすくなるというわけです。
Q5:体操をやってはいけないケースもありますか?
強い炎症が現に起こっているときは、避けてください。
あるいは、首や腰、目玉を動かすと強い痛みを感じる場合も、ぐるぐる体操は控えておきましょう。
無理に動かすと、患部をより悪化させるリスクがあるからです。
その場合は、炎症や痛みがある程度治まってから始めるようにしましょう。
6章にわたって、左右の脳機能のバランスを整えて不調を改善する「脳バランス体操」について解説しています!