首や肩、背中の「こり」に悩まされていませんか? その原因は、「背骨の中心となる胸椎にあるんです」と、テニスボール矯正の考案者である酒井慎太郎さんは言います。そこで、酒井さんの著書『肩こり・首痛完全解消! 10秒胸椎のばし』(KADOKAWA)から、毎日10秒続けるだけで効果がある「胸椎のばし」のメリットや具体的な方法をご紹介します。
チコちゃんから出された疑問「なぜ子どもは肩こりがないの?」
私は以前、NHKテレビの「チコちゃんに叱られる!」に出演し、関節について解説したことがあります。
おかっぱ頭の5歳の少女・チコちゃんが日常の素朴な疑問を尋ね、答えられないゲストに対して「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という決めゼリフを放つ人気番組ですね。
そのときにチコちゃんから提出された疑問は、「ねえ、どうして小さな子どもには肩こりがないのか知ってる?」というものでした。
たしかに、10歳くらいまでの子どもには肩こりがありません。
みなさんは、その理由がお分かりでしょうか?
答えは「子どものうちはみんな関節を正しく動かしているから」です。
人間の子どもの脳と体には、大きな頭をしっかり支えて二足歩行ができるよう、正しい関節の動かし方や体の動かし方がインプットされています。
ですから、誰に教えられなくてもハイハイをし、立っちやあんよをして、いずれ駆け回るようになっていきます。
そして、正しく関節を動かして行動をしているうちは、肩こりや腰痛などの問題は起こらないものなんですね。
ところが、10歳を過ぎて身長が伸びはじめるあたりから、人によっては悪い姿勢の習慣がつくようになります。
とりわけ問題になるのが、"頭を前に出す""背中を丸める"という姿勢習慣です。
こうした姿勢のクセがついてしまうと、頭の重みがもろに頸椎や胸椎にかかってくるようになり、首の後ろ、肩、背中などの筋肉が緊張しっぱなしになります。
さらに、それを何年にもわたって続けているうちに肩、首、背骨などの関節に疲労がたまり、肩こり、首こり、背中のこりを訴えるようになるのです。
つまり、子どもの頃はみんな関節を正しく動かせていたはずなのに、成長とともに悪い姿勢をとるようになり、頸椎や胸椎に荷重プレッシャーがかかるようになって、だんだん首、肩、背骨などの関節をスムーズに動かせなくなっていくというわけ。
そして、胸椎がこり固まって動きが悪くなっていくのも、これと同じ流れによって起こることなのです。
すなわち、子どもの頃はしなやかな胸椎を維持できていたのに、悪い姿勢のクセがつくとともに胸椎の機能が少しずつ低下し、そのまま長い年月を経てしまうとガチガチに固まっていってしまうわけです。
きっと、みなさんの中にも、このパターンで胸椎の動きを低下させてしまった方々が多いのではないでしょうか。
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