「日本人の約8割は歯周病」という衝撃の調査結果をご存じでしょうか?その原因は「だ液が足りない」こと。だ液が減少すると、歯周病や虫歯だけでなく、生活習慣病やがんといった重大な病気のリスクも増大するといわれています。豊富にだ液を分泌させるためには「ベロを鍛えることが大切」という歯科医師・坂本紗有見さんの著書『歯周病、口臭、むし歯を防ぐ 1分間「殺菌ベロ回し」』(アスコム)から、その理由とベロを鍛え方について連載形式でお届けします。
矯正は子どもより中高年がすべきこと
歯並びの矯正は美容面でも大きな効果を発揮します。
歯並びが整えば適切にものを噛めるようになり、結果として筋力のバランスが整います。
それによって顔のゆがみやほうれい線、さらにはたるみやシワの改善が期待できるためです。
これはまさに、女性にとってはいいことずくめと言っていいでしょう。
口元が正しいバランスを取り戻すと、自然に輪郭が整い、横から見た際の顔のラインがより美しく見えるようになります。
矯正は究極のアンチエイジングと言っても過言ではないのです。
歯科矯正は子どものためのものというイメージが強いかもしれません。
しかし実際には中高生から成人まで、多くの人が矯正を行っています。
とくに最近では、中高年になってから矯正を始める人が珍しくありません。
それは美容目的だけではなく、加齢とともに起こる歯のトラブルを改善するために、矯正が有効な手段であるからです。
一見、歯並びが悪くないように見える人でも、口のなかまでつぶさにチェックしてみると、実は食事の際に両方の奥歯がきっちり噛み合っていないことがあったり、微妙に「出っ歯」の状態になっていたり、隙間が空いてきたり、さまざまな不具合を抱えているもの。
噛み合わせの悪さは口やベロの動きを阻害し、結果としてだ液の分泌を抑制してしまうこともあるでしょう。
これが「汚口」の一因になるのは言うまでもありません。
また、歯並びが乱れている状態では、どれだけ時間をかけて歯を磨いても、ブラシが正しく歯に届かないところがあるため、食べかすなどを完全には除去できません。
これも矯正によって歯並びが整えば、ブラシやフロス、歯間ブラシなどがフィットするようになり、口のなかをいっそう清潔に保つことにつながるわけです。
矯正によって正しい咀嚼が行えるようになれば、だ液の分泌が促進され、さまざまな健康効果が得られます。
若い世代であれば体の正しい発育を。中高年には健康で若々しく長生きすることを。
矯正は「汚口」を「美口」に改善し、人生を充実させるためのアプローチのひとつです。
気になる人は一度、矯正専門の先生の審査・診断を仰いでみることをおすすめします。
歯周病とむし歯を防ぎたければ歯並びを良くしなさい
歯並びを良くすることが「美口」につながるということは、口腔ケアにおいて重要な意味を持ちます。
食べかすが残らず、プラークが発生しにくいということは、歯周病やむし歯になりにくくなるということです。
歯周病やむし歯を放置すると、やがては歯が抜け、健康的な食生活が送れなくなります。
食べ物が美味しくなくなり、発音が変わり、時には顔の形まで変わるとも言われています。
噛み合わせが悪いと、局所的に噛む力がかかりすぎて歯に亀裂が入り、そこからむし歯になることもあります。
歯周病菌が歯ぐきから侵入すると、認知症、糖尿病、高血圧などの全身疾患の原因となります。
口の健康を考えるうえで、究極の状態は、歯を削らない、歯を抜かないことです。
歯周病とむし歯を防げれば、いつまでも自分の歯で食べられます。口臭も防げます。
そのためには、歯並びを整え、歯磨きと殺菌ベロ回しを日々行い、さらに定期的に歯科医に通うことが重要です。
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口内フローラと病気の関係に詳しい歯科医師・坂本紗有見さんがさまざまな病気を防ぐベロの鍛え方「殺菌ベロ回し」について教えてくれます