脳卒中や心筋梗塞など、さまざまなリスクを秘めた高血圧。「男性よりも女性の方が血圧は低めだから...」と油断をしてはいませんか? 実は更年期以降の女性は高血圧になりやすく、その際のリスクは男性よりも高めなのだとか。そこで今回は、東京女子医科大学 高血圧・内分泌内科教授の市原淳弘(いちはら・あつひろ)先生に「"血圧を確実に下げる"10の方法」を教えてもらいました。
閉経後は女性の70%以上が高血圧!?
一般的に、女性と男性では、女性の方が血圧が低めです。ですが、実は、更年期(閉経を挟んだ前後の10年)以降の女性は高血圧になりやすく、そのリスクは男性よりも高め。60代になると、なんと70%以上の女性が高血圧に。
高血圧になると、いろんなリスクが!!
病気の引き金になる高血圧
ホルモンバランスの変化も
現在、日本の高血圧人口は、潜在的な患者数を含めると推定約4300万人。
なんと、国民3人に1人です。
「血圧が高くなると血管がダメージを受けて動脈硬化の原因に。脳卒中や心筋梗塞、認知症、骨粗鬆症など重篤な病気を引き起こすリスクも高まります。また、高血圧はホルモンのバランスが変調をきたし始めているサインでもあります」と、市原淳弘先生。
閉経後の女性に高血圧が多いのもホルモンバランスの変化が一因と市原先生。
閉経すると、血管をしなやかに保つエストロゲン(女性ホルモン)が急激に減少。
相対的に男性ホルモンの割合が増えて交感神経が活発になり、レニンという血圧上昇ホルモンの産生が増加します。
「閉経後の血圧上昇の予防・改善には、血管を柔らかく保つNO(一酸化窒素)を増やすこと、血管の中にたまった塩分を排出しやすくすることが必要です」。
無理なくできる対策で血管を健康に保ち、高血圧を防ぎましょう。
高血圧改善にはNO(エヌオー)とカリウムが大切です
NOとは?
血管の内皮細胞から産生されるNO(一酸化窒素)は、別名、血管拡張ガスともいわれます。血管を拡張させ、血流を調節する作用があります。
【血管を広げて柔らかくする】
血管の平滑筋(※)に作用してしなやかな血管へ導きます。血管を拡張しやすくなり、血流がアップします。
【動脈硬化を予防する】
内皮細胞の炎症を抑えたり、血管の壁にできたプラークを修復して、動脈硬化の進行を防ぎます。
【血栓をできにくくする】
NOには、血小板の凝固を抑制する働きもあり、プラークの破裂後に血栓ができるのを防ぎます。
※平滑筋は、内臓や血管の壁に存在し、緊張を保つことや収縮によってその働きを維持しています。平滑筋が衰えると、血管の収縮・拡張がうまくいかず、血圧の調整が難しくなります。