<治療法>
抗ウイルス薬がよく効きます
抗ウイルス薬の服用で
炎症を重症化させない
帯状疱疹と診断されたら、最初にウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みを和らげる鎮痛薬が処方されます。
「ウイルスの増殖が抑えられると皮膚の炎症や痛みも治まります。発症後3日(72時間)以内の服用が望ましく、炎症を早く抑えられれば、帯状疱疹後神経痛にも移行しにくくなります」と、本田先生。
皮膚の症状が治まらないときは塗り薬が処方されることも。
いずれも、受診時の症状や個々の体調、医師などにより処方は変わります。
ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬
一般名 | 商品名 | 服用回数 | 特徴 |
ファムシクロビル | ファムビルなど | 1日3回 | 作用の持続時間が長い。小粒の錠剤で、高齢者も服用しやすい。 |
アメナメビル | アメナリーフ | 1日1回 | 腎機能の悪い人も服用できる。1日1回の服用なので飲み忘れることが少ない。 |
アシクロビル | ゾビラックスなど | 1日5回 | 胃腸での消化吸収が低いため、1日の服用回数が多い。点滴で投与される場合も。 |
バラシクロビル | バルトレックスなど | 1日3回 | 胃腸での消化吸収が比較的よい。 |
皮膚症状が悪化したら塗り薬
種類 | 特徴 |
非ステロイド性抗炎症薬(外用薬) | 初期に使用。皮膚の赤みやはれ、痛み、かゆみなどを和らげる。 |
皮膚潰瘍治療薬 | 水ぶくれがただれて潰瘍になった場合に使用。皮膚の修復を促す。 |
抗菌薬 | ただれや潰瘍による細菌の二次感染を防ぐ。軟膏やクリームがある。 |
眼軟膏 | 顔に発症した際、目の合併症予防のために使用。下まぶたの粘膜に塗る。 |
局所麻酔薬(リドカイン配合など) | 皮膚症状の痛みをとる効果がある。皮膚症状が治った後、痛みが残る場合にも使用。 |
痛みを和らげる鎮痛薬
アセトアミノフェン
最も一般的な鎮痛薬。胃腸や腎臓などへの影響が弱く、副作用が少ない。
ステロイド薬
痛みが強い場合や、合併症を起こす恐れがある場合などに使用。
オピオイド鎮痛薬
神経活動全体に作用し、痛みを鎮める。弱・強のオピオイド薬がある。
痛みが長引くときは
抗うつ薬などが処方される
こともあります
「なぜ皮膚の病気に?」と思われますが、抗うつ薬は「痛み」の治療薬として処方されます。帯状疱疹は皮膚だけでなく、神経にも炎症を起こす病気です。抗うつ薬には脳内の神経伝達物質の量のバランスを整え、痛みを和らげる作用があります。また、神経の異常な興奮を抑える抗てんかん薬や抗けいれん薬が処方される場合もあります。
構成・取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/ノグチユミコ