「日本人の3人に1人がなる」とも言われる「帯状疱疹」とは、いったいどのような病気なのでしょう? 宇野皮膚科医院長の漆畑 修(うるしばた・おさむ)先生に、教えていただきました。今回は「帯状疱疹に〝なりやすい人〟〝なりにくい人〟」についてご紹介します。
帯状疱疹に〝なりやすい人〟〝なりにくい人〟
●一度もかからなかった人
60代の女性Aさんは娘が結婚してから娘夫婦と同居。共働きの娘夫婦の代わりに2人の孫の面倒を見ました。孫たちが幼い頃に水ぼうそうになったときも看病し、常に接していました。ブースター効果のおかげで一度も帯状疱疹になったことがありません。
●一度の帯状疱疹で済んだ人
70代の女性Bさんは息子が独立して夫と二人暮らし。息子は幼少期に水ぼうそうになったことがありブースター効果が得られました。ブースター効果が薄れた50代の頃、旅行の後で帯状疱疹に。薬を飲んで3週間ほどで完治し、その後は発症していません。
●再発した人
60代の男性Cさんはずっと独身で一人暮らし。仕事が忙しかった20代で帯状疱疹にかかり、薬を飲み完治しました。その後も子どもと接する機会がなくブースター効果が得られず、約40年後の60代になって再び帯状疱疹を発症してしまいました。
帯状疱疹の再発が近年は多くなっている
漆畑先生は「以前は、帯状疱疹は一生に一度しか発症しない、といわれていました。いまは帯状疱疹を発症した数年後に、再び帯状疱疹になってしまう人が珍しくありません」と話します。
帯状疱疹は、上のように「なりやすい人」と「なりにくい人」がいます。
例えば、これまで三世代同居の家庭では、子どもや孫が水ぼうそうにかかることで、ブースター効果を得ることができました。
これからは、帯状疱疹の発症や再発が、起こりやすくなるかもしれません。
「定期的にワクチン接種を行い、免疫力を下げない生活を心がけることで、帯状疱疹の発症や再発を防ぐことができるのです」
帯状疱疹はうつる? うつらない?
帯状疱疹を発症した場合、ほかの人には帯状疱疹はうつりません。
しかし、同居している家族に、赤ちゃんや幼児など、水ぼうそうにかかったことがない人がいるときは、水ぼうそうをうつして発症させてしまうことがあります。
家族に帯状疱疹になっている人がいるときは、患部に触れてしまうと感染しやすいので、治るまでは水ぼうそうにかかったことがない人と接触させないように気を付けます。
取材・文/松澤ゆかり イラスト/祖父江ヒロコ