発症すると、チクチクする痛みや患部が熱くなったりして横になって寝るのもつらいのが、帯状疱疹(たいじょうほうしん)。後遺症に悩む人も多く、高齢になると罹患しやすいのが特徴です。今回は帯状疱疹やアトピー性皮膚を専門とする、本田まりこ先生にお話を伺いました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年9月号に掲載の情報です。
【前回】皮膚科医・本田先生に聞きました。50歳以上で急増! 帯状疱疹対策はワクチン接種が有効
発症したら
早めの受診で激痛を防げます
<約7日前から>
患部に「前駆痛(ぜんくつう)」が現れる
体の左右どちらか片側に、ピリピリ、ズキズキした痛み、刺すような痛み、体が焼かれるような痛みが現れる。
*この時点では病院へ行っても診断できない
<発疹が出る>
初めは虫刺されのような発疹
赤く小さな発疹が現れる。その後、発疹が数個集まり、やがて水ぶくれになる。
*発疹が出て72時間以内に治療することが重要
<4~5日め>
水ぶくれが膿疱(のうほう)に変わる
透明だった水ぶくれが黄色いうみがたまった状態になる。痛みが強まることも。
<6~8日め>
ただれや潰瘍になる
膿疱が破れ、ただれたり、皮膚が深くむけた状態に。後に乾いてかさぶたになる。
<20~21日め>
自然治癒の場合でも痛みと皮膚症状はほぼ消える
高齢者は自然治癒だと3週間以上かかることもある。
<21日め以降~3カ月以上>
5~30%は後遺症として痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」に移行する。
発見するポイント
水ぶくれを伴う赤い発疹が......
●体の左右どちらかに現れる
●強い痛みを伴う
↓
早めに治療すれば10日ほどで症状がなくなる
ピリピリした痛みが前触れ
発疹が出たら3日以内に病院へ
帯状疱疹の発症時は、まず「前駆痛」という痛みや違和感が体の左右どちらかに現れます。
ピリピリ、ズキズキといった痛みです(※)。
「前駆痛は数日から1週間ほど続きます。この痛みだけでは帯状疱疹と診断できませんが、これが大きなサイン。以降の皮膚の状態の変化を見過ごさないことが大切です」と、本田先生は話します。
痛みがある箇所に赤い小さな発疹が現れたら、ほぼ帯状疱疹で間違いありません。
ウイルスが増殖して皮膚を破壊する前に皮膚科を受診しましょう。
「この時点で治療すれば、10日ほどで症状は治まります。治療をしなくても多くは3週間ほどで自然に治りますが、強い痛みに苦しんだり、後遺症の帯状疱疹後神経痛や合併症を起こす確率が高まります」と、本田先生。
帯状疱疹の場合、連休中や年末年始でも救急で診察を受けることができるそうです。
ためらわずに直ちに受診するようにしましょう。
※若い人の場合はかゆみだけが出ることもあるので、虫刺されと区別することが大切。以降の皮膚の状態の変化に十分注意しましょう。