「日本人の3人に1人がなる」とも言われる帯状疱疹。いったいどのような病気なのでしょうか? 宇野皮膚科医院長の漆畑 修(うるしばた・おさむ)先生に、帯状疱疹の症状や、治療・予防法をお聞きしました。今回は「帯状疱疹が増加している理由」についてご紹介します。
ブースター効果が得られず、帯状疱疹が増える傾向に
帯状疱疹は上のように、私たちの体内に潜んでいる水ぼうそうウイルスによって発症します。
もし、水ぼうそうの人に接する機会があれば、それが追加免疫となって帯状疱疹の発症を抑えてくれます。
これを「ブースター効果」といいます。
「2014年に水痘ワクチンの乳幼児への定期接種が始まりました。それ以降は水ぼうそうはほとんど流行していません。ブースター効果が得られず、帯状疱疹を発症する人が増えています」と漆畑先生。
発症のしくみ
1.水ぼうそうウイルスに感染
感染力が強く、患者のくしゃみやせきの飛沫などから感染します。2、3週間の潜伏期間を経て発症。
2.子どもの頃...水ぼうそうを発症する
体中に赤い発疹が現れてかゆみが出ます。発疹は水ぶくれからかさぶたになり治ります。
3.治ってもウイルスは体の中に潜んでいる
ウイルスは知覚神経に入り、全身の神経節という部分に潜んで何十年間も生き続けます。
4.ウイルスが再活動すると「帯状疱疹」に
加齢・免疫力の低下などにより、ウイルスが再び活動を開始。神経に沿って増殖しながら皮膚に到達して発症します。
帯状疱疹を発症しない「ブースター効果」とは?
水ぼうそうの人に接することで「追加の免疫」が得られて、帯状疱疹を防げます。
水ぼうそうが減ったせいで帯状疱疹は増加傾向
※1997年の発症率を1としたときの発症率。出典:国立感染症研究所のホームページを基に作成。
取材・文/松澤ゆかり イラスト/祖父江ヒロコ