アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、改善法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第12回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんに「更年期の頻尿」についてお聞きしました。
こんにちは、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
40代になってから、夜寝ている間にトイレで起きるようになった、すぐにトイレに行きたくなる、尿漏れしないか不安などのお悩みをお持ちではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれており、この時期は、ホルモンバランスの影響で頻尿になることがあります。
頻尿は「尿が近い、尿の回数が多い」という症状ですが、一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。
私の対応したお客様でも、更年期の年代の方で、トイレが近い、夜もトイレで起きてしまい眠れない、尿漏れしないか不安とお悩みの方がいらっしゃいました。
仕事中も趣味の映画鑑賞中もトイレのことばかり考えて集中できない、楽しめないと気が滅入る日々を過ごしていたそうです。
そんなKさん(52歳)が漢方で頻尿を改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
1.更年期の頻尿の原因
更年期の不調は、卵巣の老化による女性ホルモンの減少や、ストレスが原因です。
女性ホルモンが減ると、尿道の粘膜がうすくなり尿道の周りの組織が萎縮して知覚過敏となったり、尿道や膀胱の近くの筋肉をうまくコントロールできなくなったりして、頻尿を引き起こしやすくなります。
漢方では、泌尿器系、成長・発育・生殖を主る機能をもつ<腎>が衰えると、水分の代謝が順調に進まずに水の巡りが悪くなり、頻尿を引き起こすと考えます。
更年期になると、この腎のはたらきが自然現象として衰えてきてしまいます。
また、冷えや血や気の滞りも頻尿の原因となります。
2.まさか私が尿漏れするなんて...トイレのことばかり考えて集中できない!
52歳女性・Kさんのエピソードをご紹介します。
不動産会社の事務職にお勤めで、ご主人と高校生の娘さんと三人暮らしです。
ご趣味は映画鑑賞で、週末は家族そろって自宅で映画を見て楽しんでいるそうです。
3年ほど前に閉経を迎えたもののそれまで特に更年期の不調はなかったそうです。
ところが、2か月ほど前から、冷えやトイレが近い、頻尿の症状が気になるようになってきたそうです。
トイレの回数が多いわりにはむくみがあるのも気になっているとのことでした。
仕事中も1~2時間に1回は席を外してトイレに行くので、同僚から変に思われていないか気になるし、最近は、夜寝ている間もトイレに起きるようになり朝までぐっすり眠れず心身ともに疲れている・・・と思い悩む日々が続いていらっしゃいました。
そんな時、さらに追い打ちをかけるような出来事が起きてしまったということでした。
「私も家族も映画鑑賞が趣味で、週末の夜は自宅で家族そろって映画を見るのが楽しみなんです。その日もいつも通りに映画を見ていたら、急に尿意を感じたのですが、『今ちょうどいいところだから、ちょっとだけ我慢・・・』と思っていたら、我慢できずに少し漏らしてしまったんです。慌てて映画を止めてもらい、トイレに行ってこっそり着替えてその場はやり過ごしましたが、『まさか私が尿漏れするなんて!』とてもショックでした。
その日以来、またうっかり漏らすのではないかと不安で、高校生の娘用に買っていた生理用ナプキンをつけ、大好きなコーヒーも控えて水分もとり過ぎないようにしています。ナプキンのせいか陰部がかゆくなったり、臭いや尿漏れが気になるのでさらにトイレの回数が増えたりでもう最悪です。
トイレのことばかり考えて仕事も集中できないし、あんなに楽しみにしていた週末の映画鑑賞も、いい場面で私のトイレのためにDVDを止めないといけないので、映画の世界に集中できずに楽しめなくなってしまいました。家族は何も文句も言いませんが、なんとなく申し訳なくて・・・。仕事でも自宅でもとにかく何をするにもトイレのことばかりが頭に浮かんでしまい気が滅入ってしまいます」
トイレの悩みは人に相談するのは恥ずかしかったそうですが、「そんなに気になるなら、一度病院を受診してみたら?」という高校生の娘の一言に励まされ、女性向けの泌尿器科に行ってみたところ、更年期によくある頻尿の症状だと診断されたということでした。
医師からはホルモン補充療法を勧められましたが、抵抗があったため漢方薬を処方してもらい飲んでみることにしたとおっしゃっていました。
「漢方薬を飲むようになって2週間程度で夜にトイレに起きる回数が減りました。夜ぐっすり眠れるようになったので体力が回復したのか体調もよくなってきました。尿漏れが不安で何度もトイレに行っていたのですが、体調がよくなると気持ちも落ち着いてきたのか、自然とトイレの回数も減っていきました。やっと生理用ナプキンからも卒業です。
そうそう、頻尿だけじゃなく、冷えやむくみも気にならなくなりました。漢方薬を飲んでいた方が体調がよいので今も続けています。トイレを気にせずに、仕事も集中できるようになりましたし、何よりまた家族で映画を楽しめるようになって本当にうれしいです!私の背中を押してくれた娘には感謝です」
そうお話してくださったイキイキとしたKさんの笑顔が印象的でした。
3.更年期の頻尿は漢方で根本的に改善
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期の影響による頻尿かもしれません。
<これって更年期の頻尿?チェックリスト>
・40歳以降、急にトイレが近くなった、トイレの回数が増えた
・頻尿だけでなく、イライラや気持ちが不安定で落ち着かない
・のぼせやほてり、汗なども気になる
ただし、日常生活に支障をきたすほど頻尿症状が強い場合は、自己判断せずに内科や泌尿器科を受診しましょう。
「西洋薬やホルモン補充療法は副作用が心配」
そんな方には漢方薬がおすすめです。
一般的に、漢方薬は自然にある植物や鉱物などの生薬を組み合わせて作られており、西洋薬よりも副作用が少ないと言われております。
また、症状の緩和、苦痛を和らげるための対症療法ではなく、体質の改善に働きかけることで根本的な解決を目指すので、同じ症状を繰り返したくないという思いに応えてくれます。
バランスの取れた食事や運動などを毎日続けるのは苦手という方も、症状や体質に合った漢方薬を毎日飲むだけなので、手間なく気軽に継続できます。
今回Kさんが服用した漢方は「八味地黄丸(はちみじおうがん)」という更年期女性の頻尿によく使われる漢方でした。
八味地黄丸は、体を温めて腎(泌尿器系、成長・発育・生殖を主る機能)を補うことで、腎の衰えや冷えが原因の頻尿を改善します。
更年期の頻尿の改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
胃腸が弱い、神経質、疲れやすい方むけ
気と水のバランスを整えて水分代謝を改善しつつ熱を冷まして頻尿を軽減します。
●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
冷え、むくみやめまい、貧血気味の方むけ
血を補い、血や水の巡りをよくして体を温め、腎の血行を良くして頻尿を改善します。
ただし、漢方薬を選ぶ際には自分の体質に合ったものを選ぶ事が大切です。
体質に合っていない場合は、効果が出ないだけでなく、副作用がおきることもあります。
購入時には、できる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたい。コスパ良く漢方を飲んでみたい。という方には、「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」などの、スマホで気軽に頼めるサービスもおすすめです。
4.人に言えないトイレの悩みをスッキリ解決して更年期を笑顔で過ごしましょう!
「最近、何度もトイレに行きたくなる、尿意が強くて困っている」
「夜寝ている間にトイレに起きるのがつらい」
その頻尿の症状は更年期が原因かもしれません。
漢方でトイレの悩みをスッキリ解消して、更年期も元気な笑顔で過ごしていきましょう!