アラフィフ女性にとって、身近なテーマである「更年期」。でも、更年期に起こる心身の不調の症状や程度、治療法は本当に人それぞれですよね。そこで、薬剤師やジャーナリストの方に、漢方で更年期症状が快方に向かった方のケースをお聞きする「更年期『漢方』相談室」を連載形式でお届け。第1回は、漢方薬・生薬認定薬剤師の清水みゆきさんにお聞きした「46歳女性のケース」についてご紹介します。
こんにちは、オンライン漢方相談「あんしん漢方」で薬剤師として働いている、 清水みゆきです。
最近、前よりもイライラしやすくなったかも...とお悩みではありませんか?
それはもしかしたら更年期のせいかもしれません。
45~55歳の閉経前後の10年間は更年期と呼ばれる時期。
どうしても、ホルモンバランスの影響でイライラしやすくなってしまいます。
私の対応したお客様でも、イライラのせいでつい家族にも当たってしまい、腫物を触るかのような扱いをされていたAさん(46歳、同い年の夫と高校生の娘2人の4人家族)という方がいらっしゃいました。
そのAさんがイライラを漢方で改善できた事例を通して、更年期の不調の改善方法をお伝えいたします。
更年期にイライラしてしまう原因
更年期は、女性ホルモンが一番激しく変動する時期です。
40歳後半から50歳代になると、女性の体は、女性ホルモンのひとつのエストロゲン(卵胞ホルモン)が急激に減少します。
このホルモンバランスの乱れが、自律神経を不安定な状態にします。そして、精神的にも影響を受けて、イライラしたり、気持ちが不安定になってしまいます。
さらに、子どもの反抗期や独立、介護の始まりなど、更年期は生活環境が変わることもよくあります。
変化に対するストレスもイライラの原因のひとつとなります。
◆自分のイライラのせいで家族の雰囲気が悪かった46歳Aさんの場合
印象に残っているお客様、Aさん(46歳女性)の事例をご紹介します。
Aさんは夫と高校生の娘2人の4人家族。家族のお弁当作りやパートの仕事と毎日を忙しく過ごしていらっしゃいました。
半年くらい前から、月経の周期が不順になることが増えてきて、そろそろ閉経?と気になっているところでしたが、同じころから何かとイライラすることが増えてきたそうです。
元々は温厚と言われる性格でしたが、最近は、パート先の新人さんの挨拶の声が小さい、娘が玄関に靴を脱ぎっぱなしにするなど、些細なことでもイライラするようになってしまいました。
中でも、「やってしまった...」と一番後悔されたときのエピソードを教えて頂きました。
その日Aさんは、パートの仕事が残業になり、疲れている中、スーパーに寄って夕食の材料を買って帰ってきました。
するとちょうどAさんの帰宅する少し前に2歳年上のご主人も帰ってきたところだったようで、テレビの前で缶ビールを開けてバラエティ番組を観ていたのだそうです。
いつものことなので、Aさんも最初は何も思わなかったらしいのですが、料理をしているうちに、断続的に響くご主人の笑い声がだんだんカンに触ってきて、イライラ。
「うるさい!バカな番組みてバカみたいに笑わないでよ!」と思わず言ってしまいました。
それまでそんなことを言われたことがなかったご主人はびっくりして、慌ててテレビを消したそうです。
その後も、つい娘さんやご主人に当たってしまうことが増え、「お母さんは最近機嫌が悪い」と腫物をさわるような扱いをされるようになりました。
家族が揃うと雰囲気があまり良くない状況が続き、食事が終わると各自すぐに自分の部屋に引っ込んでしまうため、会話も激減してしまったそうなんです。
「どうしてこんなことになってしまったんだろう??」
Aさんは自分でコントロールできないイライラに悩むようになりました。
そんなとき、美容院で偶然読んだ雑誌で「イライラは更年期が原因である事」「更年期のイライラに漢方が良い」と知り、ネット検索。
ネットでオーダーできる漢方薬を試してみることにしました。
初めての漢方薬は苦くて飲めるかな?とドキドキでしたが、意外と抵抗なく飲むことができたそうです。
漢方薬を飲み始めて2週間ほどたった頃、そういえば、家族に当たることがなくなってきたかも、と、イライラが減ってきた効果を実感。気をゆるせる相手だからこそ、家族に当たってしまっていたのかもしれません。
「お母さん、最近、笑うようになったね」と娘さんにも言われて、食後に家族で 談笑する時間も増えたそうです。
Aさんは「あのまま放置していたら、家族の雰囲気が悪い状態がずっと続いていたんですよね。
更年期のせいだということもわからなかったから、偶然でしたけど、早めに気づいて改善することができて本当に良かったです」と嬉しそうにおっしゃっていました。
イライラの改善には飲むだけで効果が実感できる漢方がおすすめ
Aさんの場合は、更年期に入り女性ホルモンのバランスが乱れ、イライラするようになってしまっていたと考えられます。
女性ホルモンの変化は目に見えないので気がつきにくいですが、40代に入り、以下のような症状が見られる場合は、更年期のせいかもしれません。
<これって更年期のイライラ?チェックリスト>
□ 周囲の人の言動がやたらと気になり文句を言いたくなる
□ 前までは気にならなかったことが急に癇に障るようになった
□ 怒りっぽくなったと人から言われるようになった
「私の不調ってもしかして更年期のせい?」
「どうしたら治るの?」
そんな方におすすめなのが、漢方です。
更年期の不調には漢方が効くことが多く、更年期障害をきっかけに漢方を飲み始めたという女性は私の周りでも多くいらっしゃいます。
漢方薬とは、私たちの身体が本来持っている代謝や免疫の力を高めるように作用してくれるものです。
西洋薬(一般的な鎮痛剤や解熱剤など)よりも副作用が少ないとされておりますし、対症療法ではなく、体質自体の改善に働きかけるため、根本的な解決につながります。
同じ症状を繰り返したくない方に最適です。
健康的な食事や運動を毎日続けるのは苦手という場合も、医薬品として効果が認められた漢方なら、毎日飲むだけで効果を実感できるので、手間なく気軽に継続することができます。
その点でも、忙しい女性には向いていますよね。
今回Aさんが服用した漢方は「加味逍遙散(かみしょうようさん)」という、更年期の女性のイライラや不安、頭痛、肩こり、のぼせによく使われる漢方でした。
イライラの改善には、他にも以下の漢方が使われることがあります。
●桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
イライラ、便秘、のぼせ、婦人科系の不調などによく使われます。
●抑肝散(よくかんさん)
イライラ、怒りっぽい、不眠などによく使われます。
なぜ何種類もあるのかというと、同じ「イライラ」という症状であっても、体質や体型などによって、有効な漢方が異なるためです。
体質に合っていない場合は、効果が出にくかったり、逆に副作用が出ることもあります。
購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
自分に合った漢方薬が知りたいけど、近くに漢方専門薬局がない...という方には、インターネット上で漢方の専門家に相談できる、オンラインAI漢方もおすすめですよ。
イライラして、夫の言動が気に障る、家族にあたってしまう、その原因は、女性ホルモンの減少で起きる更年期障害のせいかもしれません。
漢方で心と体のバランスを整えて、更年期も笑顔で過ごしていきましょう!