40代以上の3人に1人が経験するとされる「尿もれ」。デリケートな問題なので、誰にも相談できない人も少なくないようです。そこで、排尿トラブル治療の第一人者・山西友典医師が監修した『尿トレ:誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(方丈社)から、同書をまとめた取材班が知った「尿トラブルの仕組み」と解消法となるトレーニング「尿トレ」のヒントを連載形式でお届けします。
腎臓を労り、便秘を予防する食べ方
休みなくはたらき続けている腎臓に負担をかけない食べ方、排尿トラブルにつながる便秘を予防する食べ方について、西村かおるさんは「偏らないことが大切です。いろいろなものを過不足なく食べ、適切な水分量をとることが、体に負担のない食べ方になります」と話します。
「健康効果のある食事」として情報を得ようとすると、単一栄養素や食品がクローズアップされているのを多く見かけますし、「高齢者こそ肉を食べよ!」などという表現にも出くわしますが、そのように偏ることこそ、泌尿器はじめ臓器の負担になり、ひいては健康を害す原因になるということです。持病で主治医から制限が出ていない限り、少しずつ、多種類を食べましょう。
また、とくに便秘予防でとりたい食品として以下をあげました。
・1日の水分摂取量の目安は、体重1g×0・02ml/日。体重が60㎏の人の場合、1日約1200ml。
ただし、持病がある人は主治医の指示に従ってください、とのこと。
・便をやわらかくする水溶性食物繊維(海藻類や果物)などと、便の量を増やし、形づくる不溶性食物繊維(豆・芋類や根菜類、雑穀類)。
・腸内の善玉菌を増やす発酵食品(ヨーグルトや納豆)。
・腸の動きを高めるガーリック、オリーブオイル、タマネギ、サツマイモなど。
・便を出しやすくする油類。
自分に必要な栄養素がどれくらいかは、体格や活動の様子、持病の経過などによっても変わり、個人差が大きいので、食べることで悩みがあるときは管理栄養士の「栄養相談」を利用しましょう。最近は、街のドラッグストアに管理栄養士が常駐していることも増えてきました。買い物ついでに専門家からアドバイスをもらえるのはお得です。
何か持病がある人は、主治医に管理栄養士を紹介してもらうとよく、病院によっては「栄養相談室」といった窓口があることも。
以下のはみ出し情報も参考にしてください。
尿トレライフの食事術 番外編
刺激物を避ける
香辛料や香り、辛味の強い根菜・香草などは泌尿器への刺激が強く、食事のときの水分摂取量を極端に増やすことがあります。味の濃い料理も同様。とくに夕食では避けたいもの。
昼食をメインにする
メインの食事を昼食に変え、夕食はなるべく消化がいい献立を軽めに、寝る3時間前に食べ終わると、就寝時に腎臓をはじめとする臓器がゆっくり休まります。
新型栄養失調に注意!
マグネシウム研究の第一人者で医師の横田邦信先生(東京慈恵会医科大学客員教授、MAG 21 研究会共宰は、食物繊維とともに慢性的なマグネシウム不足の状態「新型栄養失調」の生活習慣病リスクに注目、予防のために過不足なく食事からとることを呼びかけています。
「ミネラルの中ではカルシウム摂取を気にしている人が多く、確かにそれも大切ですが、カルシウムと密接な関係にあり、体内でカルシウムのはたらきを調整するマグネシウムが不足しないよう気をつけることも大切です。理想的な摂取バランスは『マグネシウム1:カルシウム1~1.5』ですが、現在、日本人のバランスは悪く、『マグネシウム1:カルシウム2.1』。全粒穀物や豆類、青物野菜などを食べ、栄養失調に注意してください!」と横田先生。ミネラルバランスを整えるためにも、バランスの良い食事が不可欠とのことです。
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