年齢によって抗体の有無が違う「風疹」のワクチンとは?/いま接種すべきワクチン

新型コロナウイルスのように、感染症は思わぬところで牙をむきます。O157などの細菌やはしかなどのウイルスは、これまで多くの命を奪ってきました。けれど、かつて猛威を振るった「天然痘」は、18世紀末のワクチンの開発とその後の普及で、20世紀には世界で根絶されました。そこで、年齢を重ねた私たちが、病気を封じ込めるために接種したいワクチンについて、国立感染症研究所の田谷馨子先生にお聞きしました。

2003p101_01.jpg「風疹」

赤ちゃんを守るためワクチン接種を

赤い小さな発疹と発熱を伴う風疹は、有効な治療薬がなく、妊娠20週頃までに感染すると胎児にも感染して先天性風疹症候群を発症することがあります。

予防に有効なワクチンの接種が1976年に始まり、77年から中学生女子のみの定期接種が認められました。

その後、風疹が5~6年ごとに大流行したため、95年4月から男女小児が定期接種の対象となり、同時に、12歳以上16歳未満の男女も接種対象となりましたが、接種率が上がらず、特に30代後半から50代の男性で抗体を持っていない人が多い状況が続いているのです。

「2019年度から3年間、1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性に対して、発症予防に必要なだけの抗体がない場合、公費でワクチンを受けられるようにしました。無料なので対象の方は、ぜひ接種を受けていただきたいと思います」と多屋先生。

先にあげた期間に生まれた女性は、子どもの頃に定期接種を受けているはずですが、記憶があいまいなときには、母子健康手帳などの記録で2回接種を確認するか、あるいは血液検査で抗体価を調べてもらい、低いときには自費でワクチン接種を受けた方が無難です。

アレルギーなど持病がある人は、事前に主治医に相談しましょう。

「娘さんが妊娠予定の場合、早めにご自身やご主人、息子さんの状況を把握し、ワクチンを上手に活用してください」

[主な症状]

発熱、発疹、リンパ節膨張(耳の後ろや首)

[かかりやすい年齢、性別など]

抗体を持っていない人、や抗体価が低い人

[感染経路]

主に飛沫感染や接触感染

[接種できる人]

1歳以上(持病がある人はかかりつけ医に要相談)

[ワクチンが効いている期間]

2回接種で風疹に一生
かかりにくくなる

[およその費用]

定期接種は無料、自費は1万円前後

日本から「はしか」が消えた!?

抗体を持っていない人が麻疹ウイルスを吸い込むと、ほぼ100%感染し、感染力が非常に強い麻疹(ましん/はしか)ですが、日本では1978年からの定期接種の導入と2006年からの2回接種、08年4月からの中高生への2回目ワクチンで患者が激減しました。

結果として、WHO(世界保健機関)によって日本は「麻疹の排除状態」と15年に認められたのです。

ただし、麻疹になる人が減ると自然感染によって免疫力のアップを受ける機会が減り、海外渡航者が国内に持ち込んだ麻疹ウイルスに感染する人が出てきます。

感染症とは?

ウイルスや細菌などの微生物が、体内に入って感染することで発症する病気。微生物の種類によって、発熱、せき、頭痛などさまざまな症状が出ます。

そもそも「ワクチン」とは?

感染症の予防に使用する薬のこと。

体内にワクチンで病原体の存在を知らせ、抗体などの武器を作っておくと、病原体が侵入してきても退治できます。

つまり、感染や発病、重症化を予防することができます。

ワクチンは予防の薬として欠かせない存在です。

ワクチンは病気に対する抵抗力を与える

病原体を弱くするか、あるいは全くなくした病原体を体内にあらかじめ入れて武器を作るのがワクチン。

接種することで予防に必要な抵抗力をつけます。

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取材・文/安達純子 イラスト/かたおか朋子

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多屋馨子先生(たや・けいこ)先生

高知医科大学卒業。大阪大学医学部小児科学講座入局後、大阪市立小児保健センター、大阪大学医学部附属病院小児科などを経て、2001年国立感染症研究所へ。13年より現職。感染症撲滅のために尽力中。

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この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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