新型コロナウイルスのように、感染症は思わぬところで牙をむきます。O157などの細菌やはしかなどのウイルスは、これまで多くの命を奪ってきました。けれど、かつて猛威を振るった「天然痘」は、18世紀末のワクチンの開発とその後の普及で、20世紀には世界で根絶されました。そこで、年齢を重ねた私たちが、病気を封じ込めるために接種したいワクチンについて、国立感染症研究所の田谷馨子先生にお聞きしました。
「感染症」とは?
ウイルスや細菌などの微生物が、体内に入って感染することで発症する病気。
微生物の種類によって、発熱、せき、頭痛などさまざまな症状が出ます。
「ワクチン」とは?
感染症の予防に使用する薬のこと。
体内にワクチンで病原体の存在を知らせ、抗体などの武器を作っておくと、病原体が侵入してきても退治できます。
つまり、感染や発病、重症化を予防することができます。
ワクチンは予防の薬として欠かせない存在です。
ワクチンは病気に対する抵抗力を与える
病原体を弱くするか、あるいは全くなくした病原体を体内にあらかじめ入れて武器を作るのがワクチン。
接種することで予防に必要な抵抗力をつけます。
ワクチンの種類
「生ワクチン」
●作り方
病原体となるウイルスや細菌の毒性を弱め、病原性をなくしたものが原材料。
●接種回数
毒性を弱められたウイルスや細菌が体内で感染・増殖して免疫を高めていく。
接種回数はない。
十分な免疫が体内にできるまでに約1カ月が必要。
「不活化ワクチン」
●作り方
病原体となるウイルスや細菌の感染能力を失わせた(不活化、殺菌)ものが原材料。
●接種回数
自然感染や生ワクチンに比べて生み出される免疫力が弱い。
接種回数は複数回(ワクチンによって異なる)。
取材・文/安達純子 イラスト/かたおか朋子