50歳を超えると特に気になる「将来の認知症」。年齢とともに認知症になるリスクは上がり、65歳以上では7人に1人が発症するというデータがあります。しかし最近は、積極的に予防すれば発症を抑えられることが、国内外の研究で報告されています。そこで、日本認知症予防学会理事長の浦上克哉先生に選んでいただいた「認知症を防ぐための12の方法」をご紹介します。今回は「アロマオイルの活用法」です。
【認知症を防ぐ方法②】アロマオイルを活用
認知症の予兆として、「昼食を食べたかどうか思い出せない」というような記憶障害が現れます。
「実はそれより前に『匂いが分からない』という嗅覚の異常が起こります。例えば、食べ物が腐った匂いに気が付かなくなるのです」と浦上先生。
嗅覚の異常が起こるのは、認知症の原因物質である「アミロイドβ(ベータ)」が脳にたまり、最初に嗅神経に障害を及ぼすためです。
やがて、嗅神経の近くにある記憶を司る海馬にダメージを与えて認知症に。
アロマセラピーの効果とは?
① アロマオイルの香りが脳の嗅神経細胞を刺激する
② 嗅神経が再生する
③ 脳の海馬や神経細胞の機能が回復する
④ 脳の働きが活性化
嗅神経を刺激して認知症を防ぐ方法が、アロマオイルの香りをかぐ「アロマセラピー」です。
アロマオイルは脳の神経細胞に直接作用し、認知機能を回復させます。
浦上先生の研究によると、介護老人保健施設で認知症の人にアロマセラピーを行ったところ、認知機能の改善に効果が見られました。
認知症予防のためには、生活リズムに合わせて昼と夜で香りを使い分けることが大事です。
昼は脳を活性化する香り、夜は脳を休ませる香りを使います。
《昼用の香り》
●用意するもの
ローズマリーカンファー(左)
爽快感のある香りがして、記憶力や集中力を上げる働きをしてくれます。
+
レモン(右)
甘酸っぱくさわやかな香りがします。集中力を向上させる効果があります。
▼外出先ではアロマペンダント
内部のフィルターにアロマオイルを1、2滴しみ込ませて、首から下げて使います。
【正しいペンダントのつけ方】
- 内部のフィルターにアロマオイルを1、2滴しみ込ませます。
- 常に服の上に出しておき、ときどき鼻に近づけて香りをかぎます。
- ずっと香りをかげるため、外出が多い人に向いています。
【どんな効果があるの?】
昼用の香りは脳を活性化して認知機能を向上させます。ペンダントなら動き回ることが多い日中でも、常に香りをかぐことができます。
いつでもアロマが香ります
《夜用の香り》
●用意するもの
ラベンダー(真正ラベンダー、左)
リラックス作用があり、不安な気持ちを鎮めて睡眠を促してくれます。
+
スイートオレンジ(右)
ストレスや不安を和らげて、意欲を引き出す効果が期待できます。
※「スイートオレンジ」は「オレンジスイート」とも言います。
拡散には芳香器(ディフューザー)
芳香器にアロマオイルをたらし、ファンを回して空気中に香りを拡散させます。
【正しい芳香器の使い方】
- 芳香器内部のマットにアロマオイルを2、3滴しみ込ませます。
- 寝る1、2時間前から芳香器を用いて部屋の中を香らせます。
- 部屋に拡散したアロマオイルの香りを鼻から吸います。
【どんな効果があるの?】
夜用の香りは心を落ち着かせて不眠を改善します。芳香器を使えば寝室に香りを拡散させられて、睡眠中も香りを吸入できます。
※アロマペンダントや、香りを調合済みの「浦上式アロマオイル」などは公式ショッピングサイトで購入できます。浦上式アロマオイル公式ショッピングサイト06-7663-7113(10:00~18:00)
※使用するアロマオイルに対してアレルギー症状がある人は行わないでください。使用中に頭痛、吐き気などを感じたときはすぐに中止します。
取材・文/松澤ゆかり 撮影/木下大造 モデル/大塚美世 イラスト/落合 恵