ものを持たない暮らしを志して早十数年のゆるりまいです。
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もう二度と戻りたくないあの頃の家
5年ほど前に他界した祖母は、長らく認知症を患っていました。特に祖母が認知症を発症した初期〜中期にかけての我が家は、常に陰鬱とした空気が流れていて、家族仲も悪く、家の中はゆるり家史上最悪の散らかり具合を記録し、思い返していると思わずため息が止まらなくなります。
きっかけは部屋の異常な散らかり具合
祖母の認知症の症状の詳細はひとまず省きますが、大きな症状の特徴の一つが〝セルフネグレクト〟でした。セルフネグレクトとは、自分にとって必要な衣食住のケアの意欲がなくなり、全く行わなくなることです。
元々祖母は、大学で研究職に就いていました。仕事熱心な人で、特にこれといって趣味もなく、掃除や料理などの家事も苦手な人でした。だから仕事を引退し家にいるようになっても、日がな自室で小難しい本を読んだり語学の勉強をしたりする毎日。片付けは苦手な人だったので、家は散らかりっぱなしでしたが、それもまぁいつも通りでした。
しかしいつの頃からか、家(特に祖母の自室)が異常なほど散らかるようになりました。明らかにゴミと分かるものは、ちゃんと捨てていたはずだったのに、それすら捨てないし捨てさせない。万年床になっても全く気にしない。私や母に部屋のことを指摘されると、烈火のごとく怒り出す。そして私たちを部屋に入らせてはくれなくなりました。
そして部屋はゴミ屋敷状態に
どんどん祖母の部屋はゴミ屋敷のような状態になっていきました。その中で普通に暮らしている祖母はとても異様でした。
同じ時期に、お風呂に入るのを極端に嫌がり、服も着たきりになりました。「腰が痛いから片付けられない」「不整脈の症状が出ているから今日はお風呂に入れない」など様々な理由を言っては、拒否をする毎日。あの手この手で母が祖母をお風呂に誘導し、その隙に私が部屋に入ってゴミをまとめて捨てる...なんてこともやっていました。
さすがにこれはおかしいと、祖母を何度も病院に連れて行こうとしましたが、祖母と母&私との関係はあまり良好ではなかったので、「私を認知症扱いするのか!!!」となってしまうと収拾がつかなくなる日々...。互いに悪感情だけが募り、出口の見えない状態にお手上げ状態でした。
住まいが教えてくれる病気のシグナル
結果、祖母が専門医の診断を受けるまでに結構な月日を要しました。先生から「アルツハイマー型認知症です」と言われた時、あぁやっぱりと悲しい気持ちになった反面、この異常な状況の祖母を作ったのは病気のせいなんだと分かって安心した気持ちもありました。
昔からどちらかというと感情の起伏が激しく、掃除や片付けが苦手だった祖母。急激に変わったのではなく、その持っていた側面が徐々に強まっていったのでしょう。その頃の我が家は汚家状態が当たり前だったので、散らかっている景色に目が慣れていて、もしや...と思った時にはもう進行した後でした。もう少し対処できていれば、もっと祖母の症状は軽かったのでは...と思っています。
ちょっと家が散らかっていても、年のせいと見逃しがちな部分がありますが、もしかしたら私の祖母のように病気のシグナルの一つかもしれません。家は暮らしぶりを映し出す鏡のようなもの。注意深く見ることで、変化にいち早く気付くきっかけになるはずです。
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