認知症の予防や対策などについて考える「第7回日本認知症予防学会学術集会」が、 ことし9月、岡山市で開催されました。今回の学術集会で発表された最新の情報を基に、日常生活の中でできる、 認知症予防策をご紹介します。
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昼夜で香りを使い分けて、体と脳の健康を維持
認知症予防策として鳥取大学医学部教授で日本認知症予防学会 理事長の浦上克哉先生がすすめているのが、アロマセラピーです。アロマセラピーとは、植物から抽出したアロマオイル(精油)の香りをかぐことで、自律神経を整え、心身を健康に保つ方法。 香りの種類により、リラックスや不安感の軽減などの効果を期待できるだけでなく、認知機能を回復させる 働きがあることが分かっています。
「弱った嗅神経をアロマオイルの香りで刺激すると、嗅神経が再生して機能が回復します。すると、香りが記憶を司る海馬にまで伝わり、海馬や周囲の神経細胞までも活性化します。昼は脳を活性化、夜はリラックスさせる香りをかぐことで昼夜のリズムも整います」(浦上先生)。生活に取り入れやすいのもアロマセラピーの魅力。実践の際は、無農薬・有機栽培のオイルを選びましょう。
昼夜の香りの使い分けが 体と脳の健康維持に最適
アロマオイルの使い方は簡単です。室内では、専用のディフューザー(芳香器)などに少量たらして香りを空気中に拡散させましょう。外出先では、アロマオイルを染み込ませられる専用のペンダントを首にかけたり、香りを染み込ませたシールをえりの裏に貼り付けると、香りが心地よく鼻へと届きます。
●朝は
ローズマリーカンファー +レモンを2:1で 組み合わせた香りを。
脳を活発に働かせて 交感神経を刺激。集中力と記憶力が高まります。
●夜は
真正ラベンダー(酢酸リナリルを 35%以上含むもの)+スイートオレンジを 2:1で組み合わせた香りを。
脳をゆっくり休ませるため、 副交感神経を刺激。リラックスして、 ぐっすり眠れます 。
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取材・文/笑(寳田真由美)
浦上克哉(うらかみ・かつや)先生
医学博士。鳥取大学医学部保健学科生体制御学講座・環境保 健学分野教授。日本認知症予防学会理事長。認知症診断・予防の第一人者。『認知症&もの忘れはこれで9割防げる!』(三笠書房)など著書多数。