年を重ねるうちに顔や首などにいぼができて、気付いたときにはずらり並ぶようなことも起こります。シミだった皮膚が黒く盛り上がっていぼになってしまうことも。 いぼは放置して良いもの?今回は新宿南口皮膚科院長の乃木田俊辰先生に「いぼ」の基礎知識について教えてもらいました。
良性のいぼの中にがんが混じっていることも
「いぼにはいろいろな種類がありますが、シニア世代に多いのは、脂漏性角化症という老化現象に伴う良性のいぼです。ただし、黒色調を呈するので、悪性黒色腫、基底細胞がんなどの皮膚がんが生じていることもあります。いぼに気付いたときには一度は皮膚科を受診して、皮膚がんか否か、どのような種類のいぼなのかという診断を受けることが重要です」と乃木田俊辰先生は警鐘を鳴らします。
良性のいぼは増えても命に関わりませんが、顔に生じたたくさんのいぼの中に、皮膚がんが交じっていることもあります。
皮膚がんは、痛みなどはなく見た目にも「単なるいぼ」と思えることが多く、放置して進行させてしまうことも。
自己判断はやめた方が無難です。
「急にたくさん生じた黒いいぼは、胃がんなど内臓系の悪性腫瘍のサインということもあります。皮膚科の診断を受けるように心がけましょう」と乃木田先生。
定期的に鏡などで確認することも心がけておきましょう。
シニア世代に多い「いぼ」は?
一般に「老人性いぼ」と言われるものは、正式名は 「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」あるいは「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」です。
中年以降に頭部、 顔面、体幹にできる、皮膚が盛り上がった「できもの」の ことで、別名「疣贅」ともいいます。
色は皮膚の色、淡褐 色などが多く、黒ずんでいることも。
こんな人がなりやすい
・若いころに日焼けをすることが多かった
・野外で作業を行うことが多い
・あまり日焼け止めを塗布することがない
・日傘を使う習慣がない
・食生活ではビタミンCの摂取が少ないような気がする
紫外線対策を行っていない人や、保湿などのケアをせずに放置している人 はいぼができやすいのでご用心。
<いぼには、いくつかのタイプがあります>
「老人性疣贅」 (脂漏性角化症)
特徴&できる年代:中年以降
原因:加齢、紫外線など
色や形状:肌色、黒褐色
できる場所:顔、手、首
「尋常性疣贅」
特徴&できる年代:一般的な「いぼ」の 半数以上を占める
原因:ヒトパピローマウイルス
色や形状:硬い突起状、ザラザラ
できる場所:顔、手足
「青年性扁平疣贅」
特徴&できる年代:青年期に多い
原因:ヒトパピローマウイルス
色や形状:薄い褐色、平べったい
できる場所:顔、手
「伝染性軟属腫」 (水いぼ)
特徴&できる年代:子どもに多い
原因:ポックスウイルス
色や形状:白い塊、軟らかい
できる場所:全身
皮膚の老化によるいぼ以外に、水いぼに代表されるようなウイルス性のいぼもあります。
シニア世代に生じやすいのは加齢に伴う脂漏性角化症です。
ただし、がんが交じっていることもあるので自己判断は禁物です。