外反母趾や下肢静脈瘤、足底腱膜炎、扁平足、足裏の痛み、足首の痛み、むくみ、だるさ・・・。足の悩みはさまざまです。足のトラブルを放置すると、やがては全身に悪影響を与え、さらにやっかいな症状を引き起こすケースも少なくありません。生活習慣や歩き方、悪い姿勢など、原因は人それぞれですが、足のトラブルを起こす人には共通点があります。それは、足裏のアーチが崩れていること。年間約2000名の足の悩みを解決してきた、さいたま中央フットケア整体院院長の冨澤敏夫先生に、足のトラブルの原因になりやすい「足のアーチ」の基礎知識について教えてもらいました。
前回記事『たった10歩でわかります!「正しく歩けているか」2つのテスト』はこちら
足の病気を防ぐには、足裏の筋力をアップ!
「足の指やかかとが痛い」「むくむ」などの足の悩みの原因は、足のアーチの崩れにあります。
「足のアーチには、正しく歩くよう促す運動機能、地面からの衝撃を吸収して足や足関節、膝関節、腰などへの負担を軽減する免震機能、バランスを保つ安定機能という3つの重要な働きがあります。アーチが崩れると、これらの機能がうまく使えなくなり、体にゆがみが出て痛みやむくみを感じるように。放置すると、外反母趾など足の病気につながります」と、冨澤先生。
アーチが崩れる原因は、運動不足や加齢、長年の姿勢の悪さなどさまざまです。
「崩れたアーチの復活には足裏を鍛えることが大切。自然と指で踏ん張れる力がつきます。すると、足の安定機能が高まり、足全体の筋力もアップ。ふくらはぎの血流も良くなり、むくみやだるさも軽減します」(冨澤先生)。
足のトラブルの原因は足のアーチの崩れです
腓腹筋(ひふくきん)+ヒラメ筋
腓腹筋は、ふくらはぎの筋肉で足首を伸ばすときに使う筋肉。腓腹筋の奥を走るヒラメ筋も同様に足首を伸ばすときに働きます。これらが衰えると血行が悪くなり、むくみや冷えの原因になります。
内側アーチ
内側縦方向のアーチで、一般的に土踏まずと呼ぶ部位。ここが崩れると扁平足に。
外側アーチ
足の外側縦方向にあり、見た目には分かりにくいですが、しっかりと体を支えるアーチ。ここが崩れると、かかとが外側に倒れやすくなります。
横アーチ
中足骨部(足指の付け根から足中心部辺り)にある横方向のアーチ。ここが崩れると、足の横幅が広がる開張足に。
アーチが支える3つの足の機能
安定機能
歩くときは足裏で全身を支えます。そのため、足の指でしっかりと踏ん張れることが大切。足の縦横に作られたアーチによって、全身のバランスを取ることができます。
免震機能
二足歩行の人間にとって避けられないのが重力による負担です。足裏にアーチがあることで、着地の際の衝撃を吸収し、分散。ひざや首などへの衝撃をやわらげます。
運動機能
歩くとき、足のアーチは、少し崩れては戻るというバネの動きを繰り返し、安定と免震の機能を果たしながら、運動機能を支えています。正しく歩けるよう促します。
足のアーチが崩れてしまうと・・・
ゆがみ
安定機能が失われて左右のバランスが崩れ、体がゆがんでしまいます。
痛み
免震機能が低下し、ひざや足、腰、首などに痛みを感じます。
むくみ
筋力が低下して血流が悪くなり、むくみやすくなります。
●放置していると足の病気を発症します
足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
正しい歩き方ができていないせいで、足裏の土踏まずからかかとにかけて痛みがでます。足裏を押すと痛い人は注意が必要です。
外反母趾
指を上げて歩くくせがある人や扁平足の人に多く見られます。足の親指が人さし指の方へ曲がり、付け根の関節の内側が痛みます。
モートン病
足首の力が弱く、足の横アーチがつぶれることで起こります。主に足の中指と薬指の間辺りに、痛みやしびれなどが起こります。
変形性足関節症
アーチが崩れて足首が不安定なことが根本原因。足首の関節が変形して痛みや腫れが出ます。60代以降に多く見られます。
下肢静脈瘤
アーチが崩れて足裏の力が弱い人に多く、ふくらはぎ辺りの血管がボコボコと瘤のように盛り上がります。痛みやだるさを感じる人も。
取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/やまだやすこ