成人女性の3~4人に1人とも。40代でぐっと割合を増す「子宮筋腫」の基礎知識

自分の体が思うようにならない...、そんな違和感がありませんか? 女性は特に40代以降、更年期や閉経という新しいモードに入っていく過程で、なんらかのトラブルはつきものです。そこで、『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)より、女性家庭医である著者が提案する、それぞれの年代で起こる女性の体の変化への「上手な対応策」を、連載形式でお届けします。

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実は意外に身近な存在です ~ 貧血は子宮筋腫が原因かも

「筋腫」と聞くと何やら怖い感じがしますが、成人女性の3~4人に1人が子宮筋腫を抱えていると言われています。自覚症状がないことが多く、気づいていない人もいますが、実は非常に身近なものです。

早い人で30代からでき始め、40代になると筋腫を持つ人の割合がぐっと増します。数が増えたり大きくなったりすることも増え、放置すると子どもの頭大まで大きくなる場合もあります。この年代からは"子宮のあばれ"にも要注意というわけです。

子宮筋腫それ自体は良性の腫瘍ですから、大きくなったり数が増えたりしない限り、取り除く必要はありません。自覚症状もありません。

女性ホルモンが影響している関係で、閉経すればもう大きくなったり増えたりしないので、何とか閉経まで持ちこたえたいものです。

子宮筋腫は筋腫ができる部位によって3つに分類され、それぞれ悪化した場合の症状が異なります。

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● 子宮の外側にできるもの(漿膜下筋腫)
この場合は相当な大きさにならない限り、特に自覚症状がないケースがほとんどです。子宮の後ろ側にできると大腸を圧迫し、便秘の原因となります。一方前部にできると膀胱を圧迫して、頻尿、残尿感などの症状が出ます。

● 子宮の内側にできるもの(粘膜下筋腫)
小さな筋腫でも月経量が多くなり、それからくる貧血、月経痛、不整出血などの症状が現れます。また妊娠しにくくなります。

● 子宮の筋肉の中にできるもの(筋層内筋腫)
小さいうちは症状がありませんが、数が増えたり大きくなったりすると、やはり月経量が多くなり、貧血や月経痛を伴います。

このうち、子宮の外側にできる筋腫は、かなり大きくなっても自覚症状がありません。しかし放置しているうちに筋腫の中心部で血流障害を起こし、筋腫すなわち子宮の一部が壊死することがあります。臓器が壊死すると痛みを伴うだけでなく、壊死した部分が感染を起こし、発熱したりさまざまな毒素を出したりするため、緊急開腹手術となることもあります。筋腫が8センチを超えた場合は、手術を検討すべきでしょう。

また、閉経によって筋腫の肥大が止まったとしても、筋腫が大きな状態で残ることはよくありません。閉経後はただでさえ子宮の血流が悪くなることから、やはり子宮が壊死する可能性があります。

また、貧血、生理が重たい、便秘、頻尿といった自覚症状があっても、この種の症状は本人があまり気にしない場合もあり、やはり発見が遅れがちなのが厄介なところです。

特に貧血については軽視しないでほしいもの。これは、要するに"酸欠状態"です。

常に貧血だと慣れてしまい自覚症状を感じないことが多いのですが、みんなが平地にいるのに、自分だけ富士山の頂上やアルプスにいるようなものです。知らないうちに血液を体に送るポンプ=心臓にも負担をかけています。

血液検査の項目で言うと、ヘモグロビンは11・5g/dlはほしいところです。診察を受けると多くの場合、鉄剤を処方されると思いますが、一度治っても、すっぱりと服用をやめてしまうと必ず元の木阿弥となります。閉経するまでは、月経のたびに貧血状態になっているのです。ホームドクターと相談して2日に1回、あるいは月経が始まった日から10日間飲むなど、工夫をして貧血を止めましょう。

貧血を克服すると、みなさん一様に「こんなにラクになるとは思わなかった」と言います。

階段を上がると息が切れるのは歳のせいではなく、貧血のせいだったというわけです。できれば、しっかり治したいものです。

エコー検査でわかります。
血液検査のヘモグロビン量も要注意!

自覚症状がなかなか現れない子宮筋腫ですが、発覚する場合は次の2つのパターンが多くなっています。

(1)婦人科検診のエコー検査(経膣超音波検査)で見つかる

(2)健康診断の血液検査で、貧血(ヘモグロビン量の少なさ)から子宮筋腫との関係が疑われ見つかる

妊娠すると、必ず子宮のエコー検査を受けることになりますので、筋腫があれば指摘され、注意を促されます。ところがその後、子育ての忙しさに紛れ、婦人科検診を受けていない方も多くいらっしゃいます。この検査は子宮がん・卵巣がんの早期発見にも有効ですので、できれば40代からは毎年受けたいものです。(2)の血液検査でのヘモグロビン量は、10・5g/dl以下であれば子宮筋腫が疑われ、自覚症状の有無にかかわらず、婦人科に相談することをおすすめします。

子宮筋腫とどうつきあうか ~ 経過観察と手術

もしも自分の子宮に筋腫があるとわかったら、それとどうつきあっていけばいいのでしょうか?

【経過観察】
まず、年に一度はエコー検査による子宮がん検診を受け、筋腫の数と大きさをチェックしましょう。数が多くても、それほど筋腫が大きくならなければ、そのまま放置し閉経を待てばよいと思います。

【手術が必要な場合】
次に筋腫が大きい場合や、貧血があまりにひどく、手術が必要となった場合。手術には筋腫のみをとる場合と、子宮を全摘出する2つのパターンがあります。

筋腫のみをとる場合

筋腫のみをとる場合は、粘膜下筋腫(子宮の内側にできるもの)であれば、膣からの内視鏡で切除できる場合もあります。その他の筋腫でもそれほど大きくなければ、腹腔鏡手術によって開腹せずに手術することができます。しかし子宮が残る以上、再発の可能性はあります。

筋腫の数が多かったり大きくても、開腹すれば技術的にはとれます。しかしその場合、切除後に子宮の壁が薄くなってしまい、破裂の危険が出てきます。まだ妊娠を望んでいる場合など、ケースバイケースではありますが、筋腫のみをとるのは技術的になかなか難しい面があります。

子宮を全摘出する場合

一方、子宮を全摘出する場合には、卵巣のことを考えてほしいです。

閉経前であれば、通常、卵巣を残すことになると思います。卵巣を残せば女性ホルモンは以前どおり分泌されるわけで、ホルモンバランスを急に崩すこともありません。

その後に卵巣がんができる可能性はありますが、最近では手術時に卵管を縛ることで、かなり予防できることもわかってきました。

もちろん、せっかく体に負担のかかる開腹手術をするのであれば、卵巣がん予防のために卵巣も摘出する、という判断もあります。近親者に卵巣がん患者がいたりするとなおさらです。ここは悩ましいところでもあるでしょう。

もし50代であれば、閉経が間近いわけですから、卵巣が機能するのもあとわずか。卵巣を残すかどうかは、よく考えて手術を受けましょう。

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syoei002.jpg40代~70代まで、年代別に表れる症状の解説や、それに対する具体的な対応策を紹介。女性家庭医として著名な著者が、わかりやすく解説してくれる一冊です。

 

常喜眞理(じょうき・まり)

家庭医、医学博士1963年生まれ。常喜医院の院長としての診療とともに、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として、婦人科や乳腺外科の診察結果を総合的に最終診断する立場を担っている。テレビの健康番組にも多数出演。

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『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』

(常喜眞理/株式会社すばる舎)

40代からの女のカラダは健康リスクがてんこ盛りです!女性のための年代別アドバイスで心と体の次のモードに備えましょう。輝く後半生に向けて、めざせ健康オトナ女子!!!

※この記事は『マリ先生の健康教室 オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(常喜眞理/すばる舎)からの抜粋です。
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