世に溢れる多くの「ダイエット本」。あなたもそれらのダイエット本を読んで様々なダイエット法を試してみたのではないでしょうか。しかし、食べるのを我慢してすらやせなかったのは、あなたの腸に「おデブ菌」がしっかり棲みついているからかもしれません!
腸内環境・腸内フローラを健康に保てば、あなたも「やせ体質」になれる可能性が......!
5分で作れる「酢玉ねぎ」やヨーグルト由来の「ホエイ」などを使って健康的にやせる、画期的「ダイエット」法です。
※この記事は『1000兆匹の腸内細菌を使って10キロ楽にやせる方法 ヨーグルト・ホエイと酢タマネギが効く!』(藤田紘一郎/KADOKAWA)からの抜粋です。
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前の記事「やせるために必要なのは「カロリー制限」よりも「やせ菌」を増やすことです/10キロ楽にやせる(4)」はこちら。
毎回の食事で「酢タマネギ」を食べると、「やせ菌」を増やすことができます。みなさんの腸に「やせ菌」が増えたかどうかは、毎日のウンチの状態で知ることができます。便秘、軟便、下痢は、「おデブ菌」や悪い働きをする細菌が増えている証になります。
特に女性は、便秘に悩む方が多くいますね。
厚生労働省の「平成25年国民生活基礎調査の概況」によれば、男性で便秘の人は全体の26%いるのに対し、女性は49%とおよそ倍に上ります。
便秘は、悪い働きをする腸内細菌が増えている証でもあります。下剤を飲んでも、その勢力は変わることなく、むしろ悪化していきます。薬による便秘解消は逆効果につながるのです。だからこそ、「酢タマネギ」を食事に加えて、「やせ菌」を増やすことが大切といえます。
理由その1 タマネギの「オリゴ糖」がいい菌を増やす
楽にダイエットを成功させるには、腸内細菌のうち、「やせ菌」などのいい働きをする菌を増やし、「おデブ菌」などの悪い働きをする菌を抑えることです。その方法として、「酢タマネギ」をお勧めしていますが、ここでその理由を3つご説明しましょう。
タマネギには、甘みの成分「フラクトオリゴ糖」が含まれています。このフラクトオリゴ糖が、腸内でいい働きをするビフィズス菌を増殖させることは、1982年、日本の研究者によって明らかにされました。
●オリゴ糖は、いい働きをする細菌の餌になります
さらに、「酢タマネギ」を作るときに少量加えるはちみつにも、オリゴ糖が含まれています。タマネギとはちみつのダブルで、「酢タマネギ」は、「やせ菌」などのいい働きをする細菌を増やすのです。それらの菌が増えると、悪い菌の働きは抑えられ、腸が活発に働くことで便秘の解消にもつながります。
理由その2 タマネギの食物繊維が腸を元気にする
腸内細菌は「酢タマネギ」に含まれるオリゴ糖をエサにして、脂肪酸のひとつ「短鎖脂肪酸」を作り出します。
短鎖脂肪酸にはいくつもの種類があって、お酢の成分として知られる「酢酸(さくさん)」、バターなどの成分の「酪酸(らくさん)」なども、短鎖脂肪酸です。
「やせ菌」などのいい働きをする腸内細菌は、短鎖脂肪酸をたくさん作ります。
これらの作用によって、腸の粘膜が強化され、ホルモンやビタミン、酵素などが作られています。私たちの健康には、酢酸、酪酸などが大きな影響を及ぼしているのです。
腸内細菌は、食物繊維を発酵させながら短鎖脂肪酸を作り出しています。食物繊維がないと、短鎖脂肪酸を作れません。いい働きをする細菌にとって、食物繊維は不可欠なのです。
「酢タマネギ」は食物繊維を多く含みます。エサとなるオリゴ糖と食物繊維によって、いい働きをする腸内細菌を増やし、活発にしてくれるのです。
●タマネギの食物繊維は、細菌のいい働きをサポートします
「やせ菌」などのいい働きをする腸内細菌が増えると、自然にやせやすくなります。そして、食物繊維は、病気予防にも一役買うのです。
細菌によって食物繊維の発酵が進むと、その過程で「水素」が発生します。水素は酸素とくっつくと「水」になるのをご存じでしょう。それは健康と大きく関係しています。
人間は呼吸によって酸素を取り込み、エネルギーを生み出すときに使用しています。このときに、「活性酸素」という、「細胞や遺伝子を傷つける別の顔を持つ酸素」が生じます。酸素は生きるために必要不可欠ですが、それを利用するときに、副産物として活性酸素ができてしまうのです。
活性酸素がたくさんあると、血管を傷つけ動脈硬化を起こし、がん細胞を生み出すなど病気に結びつきます。
また、お肌にシミやシワなどができてしまうのにも、活性酸素が関与しているのです。
腸内細菌が作り出す水素は、活性酸素とくっついて水に変えて無害にしてくれます。食物繊維が豊富で、いい働きをする腸内細菌がたくさんいると、水素が多量に発生し、活性酸素も封じ込めてくれるのです。
●食物繊維で生み出される水素は、健康と美容を守る働きがあります
「酢タマネギ」の食物繊維は、いい働きをする腸内細菌を増やします。また、水素を作ることを後押ししているのです。
理由その3 酢が大腸のエネルギー源になって便秘を解消
「酢タマネギ」のお酢は、短鎖脂肪酸の酢酸を含みます。腸内細菌も短鎖脂肪酸を作り出しますが、食べ物としてお酢を加えることで、その働きを活発にしてくれます。
短鎖脂肪酸は、「おデブ菌」などの悪い細菌の働きを封じ込める一方、大腸のエネルギー源として大切な役割を担っています。水やミネラルの吸収をはじめ、腸管の細胞を増殖させて強化し、食物繊維や食べカス、古くはがれ落ちた細胞をウンチにするのにも、短鎖脂肪酸が必要なのです。
便秘では、大腸が上手く働いていません。
便の60%は水分、残りが食べカスとはがれ落ちた腸の細胞の残骸(ざんがい)ですが、水を飲んでもコチコチのウンチは、なかなか出てくれません。上手く大腸が働いていないため、排泄(はいせつ)しづらくなっているのです。
●短鎖脂肪酸は、粘膜を刺激して大腸を動かす働きがあります
大腸が活発になれば、自然に便秘は解消されます。
また、短鎖脂肪酸が血液に乗って運ばれることで、肝臓や筋肉でもエネルギー源として利用されます。肝臓や筋肉の働きが活発になると、エネルギー代謝も上がり、余分な脂肪は燃焼しやすくなります。
●ダイエットにも、便秘解消にも、短鎖脂肪酸は必要不可欠です
さらに、お酢そのものが健康に役立つことも知られています。最近の国内の研究では、食事のときにお酢を一緒に食べると、食後の血糖値の上昇が抑えられたと報告されています。
食後の血糖値の急上昇は、糖尿病に結びつきます。すでに肥満で血糖値が高めという人は要注意です。「酢タマネギ」を食べると、お酢の作用で血糖値が上がりにくくなることに加え、いい働きをする腸内細菌によって、血糖値をコントロールするインスリンが増えて、血糖値の上昇を抑えてくれます。
このように「酢タマネギ」には、たくさんのメリットがあるのです。
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