住宅ローンを退職後も払い続ける設定は無謀? 「老後破産」を避けるための適正なローン設定とは

老後に貧乏にならないためには

では、下流老人になったり、老後破産に見舞われたりしないためには、どうしたらいいのでしょうか。

定年後は、住宅ローンを払い続けずに済むようにすることです。

ローンほど余計といえる荷物はありません。あなたがもし60歳前後なら、それが可能な最後のタイミングだと思います。

多くの企業が定年を65歳まで引き上げています。今後は70歳まで延長される可能性が高いでしょう。

もし定年の延長が5年だったとしても、すでに子供が独立している可能性は高いでしょうし、若い頃と比べたら食費も減らせるはずです。こうして生活費を削って繰り上げ返済をしていけば、退職金で住宅ローンを清算できる可能性が高くなります。少なくとも、定年後の返済額を大幅に減らせるはずです。

それでも厳しい場合は「リバースモーゲージ」という手段があります。

これは、金融機関や自治体が自宅を担保にしてお金を貸してくれる金融サービスです。条件はいろいろありますが、不動産評価額の最大7割程度のお金を借りられるため、たいていの場合、これで住宅ローンの完済が可能となります。

もちろん、リバースモーゲージも借金に変わりはありませんが、月に10万円だった返済額が3万円に圧縮できたという例もあります。これなら負担もずいぶん軽くなるはずです。

 

保坂 隆
1952年山梨県生まれ。保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授(精神医学)、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。また実際に仏門に入るなど仏教に造詣が深い。著書に『精神科医が教える 心が軽くなる「老後の整理術」』『精神科医が教える お金をかけない「老後の楽しみ方」』(以上、PHP研究所)、『人間、60歳からが一番おもしろい !』『ちょこっとズボラな老後のすすめ』『繊細な人の仕事・人間関係がうまくいく方法』(以上、三笠書房)など

※本記事は保坂 隆著の書籍『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「ライフプラン」のキーワード

PAGE TOP