『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』 (保坂 隆/明日香出版社)第3回【全7回】
「老後」について、不安なことを耳にする機会が多い昨今。老後とは本当に怖いものでしょうか? 保坂サイコオンコロジー・クリニック院長の保坂隆氏は、著書『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』のなかで、「老後ほど好きに人生を楽しめる時期はない」と言います。ただし、それには手元のお金をやりくりする力が必要です。具体的には、どのような点に気を付ければよいのか。やりくりのコツを見ていきましょう。
※本記事は保坂 隆著の書籍『楽しく賢くムダ知らず 「ひとり老後」のお金の知恵袋』(明日香出版社)から一部抜粋・編集しました。
お金は増やすよりも減らさないことが大切
「老後にいくら蓄えが必要か」が話題になって以来、投資を学ぶ教室やセミナーが盛況だそうです。参加者の多くはもちろんシニアで、その目的は「退職金を増やすこと」だとか。
でも、数回の教室やセミナーに参加しただけで、自己資金を増やせるものでしょうか。
それについて知人の経済評論家に聞いたところ、とても面白い答えが返ってきました。笑いながら、「自分より愚かな人を見つければ儲かりますよ」と言ったのです。
どういうことでしょうか。
聞きようによってはずいぶん失礼な話ですが、彼は取り繕うように「いや、誰もおとしめるつもりはないんです。じつは、経済理論のなかに『よりひどい愚者の理論』というものがあるのです」と付け加えました。
「株や為替などで儲けるためには、自分が買った値段よりも高く買ってくれる人がいなければなりません。こんな人を『自分よりもさらに愚かな人』とたとえているのです」
そして、こう続けます。
「そこで考えてほしいのが、今まで投資をしたことがないという人に、自分よりも愚かな人......というと語弊がありますね、自分より投資に関して知識が乏しい人を見つけることが可能だろうか、ということです。
私が見聞きしたところでは、投資を始めた人の9割以上が3年以内に大きな損失を出して戦線離脱していますから、やはり自分より愚かな人を見つけるのは難しいのだと思いますよ」
「自分よりも愚かな人を見つける」という表現は措(お)くとして、彼の言うことは一理あると思わざるを得ませんでした。