<この体験記を書いた人>
ペンネーム:はおり
性別:女
年齢:58
プロフィール:専業主婦で子どもは3人。3人とも独立しているので、今はネコとゆっくり遊ぶことが趣味。
私の住む地域は、いわゆる「地域猫」という猫の保護活動を推奨していて、猫好きな私も、その活動を手伝っています。
野良猫を保護し、病院に連れて行き、病気がないか診察し去勢をします。
それが済んだ猫ちゃんには耳に印を付けます。
その費用は市が助成してくれるのです。
そして、地域にいる猫たちの餌やりも指定した場所で順番にあげていきます。
地域には私の他にも猫好きな人が多く、可愛い猫たちと触れ合うのは楽しいです。
しかし、世の中、猫好きな人ばかりではないのも確かです。
地域猫という制度に疑問を持っている人もいて、餌やりなど猫の世話をしていると、イヤミを言ってくる人もいます。
「去勢もしているし、餌やりの場所も限定しているので、迷惑はかけないようにしています」
と説明していますが、ちゃんと聞いてくれないこともあります。
そんなある日、町内の掲示板や電信柱に「黒猫に餌をあげないでください」という貼り紙が、あちらこちらにあるのを見つけました。
地域猫活動の仲間と「どうして、黒猫限定なんだろう?」と困惑しました。
そうしているうちに、その貼り紙をしている人物が特定されたのです。
それは、以前から猫の保護活動に嫌みを言っていた、50代くらいの男性、Aさんです。
Aさんと同じマンションに住む40代の主婦仲間から、話を聞きに行ってみようと提案しました。
どうして黒猫限定なのか、聞いてみたいというのです。
付いてきて欲しいと頼まれまれたので、一緒にAさんの所に行くことになりました。
「すみません、私たち地域猫の活動をしているんですが、黒猫の餌やり禁止の貼り紙のことでお話をお聞きしたくて...。何か、理由があるのでしょうか?」
ドアから顔を出したAさんの話す「理由」に、私たちは顔を見合わせてしまいました。
「黒猫は縁起が悪いんですよ。ヨーロッパでは、黒猫を見ると悪いことが起こる前兆と言ってます。だいたい、地域猫の保護に市が助成金を出すなんて、とんでもないですよ。もっと税金の使い方があるはずですよ」
そう一気にまくしたてたAさん。
やはり、地域猫活動そのものが、気に食わないようです。
「地域猫のことに関していろいろご意見があるのは知っています。ですが、黒猫が縁起が悪いので餌やり禁止の貼り紙は、ちょっと疑問というか、それが理由で餌やり禁止はできないと思います。もし、地域猫の助成金に疑問がおありなら、市の方に相談に行かれてはどうでしょうか?」
私たちが返すとAさんが明らかに不機嫌になったのがわかりました。
「何もそこまでしなくていいよ。活動をしたかったら、勝手にしてください。でも、黒猫はヨーロッパでは縁起が悪いのは本当ですから」
Aさんはそう言ってドアをガチャンと閉めました。
丁寧に説明したつもりですが、分かってもらえなかったようです。
それ以来、貼り紙は無くなりAさんもイヤミを言ったりしなくなったのですが、後味が悪く、腹が立つというより寂しい気持ちが今もあります。
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