<この体験記を書いた人>
ペンネーム:Ketch
性別:女
年齢:56
プロフィール:海外在住25年、バツイチ独り者。人生の失敗の数々を回収すべく奮闘中です!
海外在住56歳の私は、30年前、26歳の頃から語学学校で教師をしています。
そんな中感じているのは、十数年前から日本人留学生の雰囲気がちょっとずつ変わってきたこと。
昔の留学生は、日本と海外とのギャップを楽しむ余裕がありました。
ですが、だんだんと、日本のハイクオリティなサービスを留学先でも求める場面が多くなってきたと感じています。
しかも、日本人留学生はその場で意見するわけではなく、後から学校ではなく紹介会社である留学エージェントに苦情を言うケースが多いのです。
学校としては後手後手の対応になってまずいということで、日本人スタッフである私に、受講後の日本人留学生たちにアンケートを取ってくれと依頼がきました。
そこで、数カ月の受講後にアンケートを書いてもらうことにしました。
すると入学時のオリエンテーションでトイレの場所を教えてもらえなかったとか、毎回授業の頭にプリントを配る時間が無駄だから工夫するべきだとか、ちょっと「?」な内容ばかり。
授業内容のリクエストや感想はほぼなく、サービスの不足ばかりが挙げられていて、地元のスタッフに説明してもわけがわからないよ、と困らせただけでした。
トイレの場所が分からなければ聞けばいいし、10人程度のクラスでプリント配る時間なんて20秒じゃん、ってことですよね。
そんな経験が何度かあってから、逆に自分が日本に一時的に滞在した時に、とある授業を受ける機会がありました。
初日に指定の教室に行くと、廊下にセッティングされたテーブルの上には、その日に使うプリントがクリアファイルに入れられていました。
表には受講生の名前シールが貼られ、入室の際にスタッフの方が手渡ししてくれました。
思わず唸りました。
ああ、こういうことね、と。
休み時間に休憩室に出ると、コーヒーのポットを持ったスタッフと、かご一杯のチョコレートやクッキーが用意されていました。
「頭を使うと甘いものが欲しくなりますよね、どうぞご自由に召し上がってくださいね」
正直、面食らいました。
教育業界とサービス業界が頭の中で結び付いていなかったのですね。
勉強したければ頑張れよ! というスタンスでしかいなかったのですが、客商売ではサービスが求められるんですね。
その至れり尽くせりっぷりには正直戸惑うばかりでした。
特に学生たちが、こんな手厚いサービスを受けることに慣れ切ってしまったいるのなら、そりゃあ海外のそっけない対応では物足りないよ、と納得しました。
やっぱり日本はすごいな、と思うと同時に、してもらうことが当たり前になりすぎて、考える力が退化してしまいそうで心配です。
いろんな見方が出来るようになるためにも、「当たり前」のことが通用しない世界も味わってほしい。
むしろ、ちょっと不便な世界を体験することも必要だろうな、と思うのでした。
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