<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男
年齢:42
プロフィール:専業主婦を妻にもつ、4姉妹(15/12/10/7歳)の父親。休日は料理もします。
専業主婦の妻(42)とは、結婚して16年。
子供も授かり元気に育ち平和な家庭を築いてきました。
そんな私でも一つ悩んでいることがあります。
「美味しい」ってどんな時に言いますか?
私は、実際に食べて美味しいと感じたり、味に心が動いた時や「お味はどう?」と聞かれて答える時に使う言葉だと思っていました。
ただ、我が家では違います。
食事が用意され、家族が席についたら、言うことがあります。
「いただきまーす」(パクッ)
「美味しー!」
が一連の儀式として行われています。
それは、こんなエピソードで始まったものです。
休日のある日、昼食を済ませると妻の機嫌がよろしくありません。
「ごちそうさま」と私が言うと...。
「もう、ごはん作りたくない。自分で作れば? 私の料理美味しくないんでしょ」
妻がこんなことを言い出したのです。
「そんなことないよ。初めに美味しいって言ったじゃん」
「うそ。聞いてない。本当は不味いんでしょ。もう作りたくない」
このやりとりは初めてではなく、結婚当初から繰り返されています。
結婚当初は私も意地になり、言い返したものです。
「本当に美味しかった時にその感動を伝えたい」
「***(妻の名前)に嘘はつきたくないんだよ」
などなど抗弁をしていました。
まあ正直に言えば、忙しかったり疲れたりで雑にしか言わなかったこともありました。
最近は面倒になり、食事の一口目を食べた際に「美味しいよ」と意識して伝えるようにしていました。
その時も子供たちが、「パパ、言ってたよ」「私も聞いた」と庇ってくれたのですが、「料理を作った私に届かなきゃ意味がないんだよ!」とキレる始末。
納得ができない私は、その日の夕飯の一口目を食べた直後に「美味しー!」と叫んでやったのです。
即座に子供たちからは、「パパ、うるさい」と両手で耳を抑えながらクレーム。
特に15歳の長女は「意味分かんない。ホントやめて」と冷酷な表情。
私も(それみろ、こんな上っ面な「美味しい」を聞いても、嬉しくないだろ?)と思い妻の方をチラッとみると、満面の笑顔で「それいい! テンションあがる!」と大喜び。
あれれっと思いながらも食事を終えると「あれまたやってね」と念を押される始末です。
翌日の食事から、開始と同時に耳に手を当てて私の方に目を向けてきます。
その圧力に負けて「お、美味しい...」と言っても「んー? 聞こえないぞぉ」と妻。
「お・い・しー!」とまた叫ばされてしまいました。
妻は満足そうな笑顔。
その時のメニューが何だったのかなんて覚えていません。
それ以来、毎度の食事で「美味しー!」を叫ぶようになってしまいました。
すると、ある日から長女も「美味しー」と言うようになりました。
「何で?」と確認すると「いや。普通に美味しいから」と。
確かに最近、料理の腕が一段上がった気もします。
「美味しいと言ってもらえると、やる気が出てくるのよね。でも言わないと作らないからね」
料理も美味しくなったし、妻もご機嫌なのはいいのですが、何とも腑に落ちません。
我が家に変な風習が定着してしまいそうで、困っています。
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