「結婚したら他人になる娘たちに金はかけん」そう言い放っていた93歳祖父の「孤独で寒々しい晩年」

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:むらまゆ
性別:女
年齢:43
プロフィール:専業主婦。母は66歳で心臓の難病と脳梗塞の後遺症であまり自由が効かない毎日です。

「結婚したら他人になる娘たちに金はかけん」そう言い放っていた93歳祖父の「孤独で寒々しい晩年」 11.jpg

祖父は現在93歳で老人ホーム入居中です。

祖母は6年前に85歳で亡くなりました。

祖父とは、祖母が死ぬまで約20年、会っていませんでした。

葬式で1度会いましたが、その後は会っていません。

祖父の事を書こうと思ったのは、私の義母が昨年70歳で亡くなり、長男とは何かを深く考えるきっかけがあったからです。

母の姉弟は67歳の母と、その姉であるもうすぐ古希の叔母、そして現在60代前半の、末っ子長男である叔父です。

母と姉は、子供時代、「区別されて」育ったそうです。

長男である叔父は欲しいものは何でも買ってもらえるのに、母や伯母が欲しいものは鉛筆1本すら、なかなか買ってもらえなかったそうなんです。

長男は公立の受験を失敗したら、すんなり私立の普通高校へ入学。

伯母は誰より頭が良かったにも関わらず、中学卒業後は「就職しろ」と言われ、必死の説得の末、なんとか公立の商業高校に入学。

そして私の母は...大学で文学を勉強することが夢で、学校でも上位10人に入るくらい頭が良かったそうなのに、祖父は進学を絶対に認めませんでした。

「女に学問はいらない、女に知恵をつけさせるとろくな事にならない、女は家事をやって子育てさえすればいい」

祖父にそう言われた母は、泣く泣く商業高校に入学しました。

当時の祖父は公務員、祖母もフルタイムで働いていましたが、祖父は家事を唯の一度も手伝う事はなかったそうです。

当時小学生だった母と伯母が祖母にかわりお弁当作り、お掃除、ご飯作りを担っていたそうです。

ちなみにこのエピソードは昭和30年代の話で、決して戦前ではありません。

母は中学時代にストレスで摂食障害になり、160センチ30キロまで体重が落ちて入院生活を経験しています。

その時、祖父は一度も見舞いに来ることはなく、一言「余計なお金を使わせやがって」といったそうです。

母も伯母も祖父に「何で弟は好きにものを買ってもらったり、大学に行かせてもらったりできるの?」と聞いたことがあるのですが、その時の祖父の答えは驚くべきものでした。

「長男には将来俺たち夫婦の老後の世話をしてもらわないといけないからな、女は結婚したら他人だからお金をかける理由はない」

叔父がこの話を聞いことがあるのかはわかりませんが、遠方の大学へ行き、そのまま就職して音信不通になりました。

そして、そんな音信不通な長男が実家を訪ねてくる時は、たいていお金がらみ。

結婚式のお金を出して、新婚旅行の費用を出して、新居の費用を出して、お金がないから貸して...祖父曰く、返しに来たことはないようです。

祖父は長男夫婦と同居して、老後を迎える事に何も疑問を持っていませんでした。

しかし、なかなか帰ってくるそぶりも見せない事に痺れを切らし、当時(30年ほど前です)、離婚して実家に戻ってきていた母と私がいるから、長男は同居できないんだと勝手に想像して、私達に「来月出ていけ」と言いました。

母は「せめて娘(私)が一学期終了するまで待って欲しい」と言いましたが、7月に母と私は追い出されました。

これで障害がなくなったと思った祖父は、長男を呼び出し同居を迫りましたが、長男の答えは祖父の想像とは程遠かったようです。

「長男だからって同居するかなんてわからない。俺は転勤族だし同居するつもりはない」

「長男は介護要員の為に大事に育てたんだ! 介護も同居もするつもりがないなら、お前に今までかけたお金を全部返せ!」

激昂した祖父が怒鳴りつけて喧嘩になり、長男との関係は完全に破綻しました。

それから30年後、祖母が逝きました。

祖母の介護は主に母と伯母が担いました。

叔父は祖母の危篤の時に顔は見せましたが、「交通費がかかるから本当に死んだ時以外は連絡いらない」と祖父の前で平然と言ったそうです。

現在93歳の祖父は、子も孫もひ孫も老人ホームにくる事なく、1人ぼっちです。

どうして今1人ぼっちなのかは...酷い言い方になりますが、死んでも気づかないのだと思います。

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