年金は大半を一時金でもらい、保険は未加入...。姑の「惨憺たる懐事情」/かづ

アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。

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「お父ちゃんの退職金は、少なくとも6千万円はある。預貯金や株券だけでも3千万円ある。年金額は、お父ちゃんだけで1ヶ月27万円貰える。と、言う事は、あんたに何一つ面倒見て貰う事なんか無いんやから」

認知症になる前にそう豪語していた姑。

ところが蓋を開けてみれば、舅と姑は、既に買い物・国内海外旅行・グルメ三昧で、退職金も預貯金も使い、残っていたのは僅かばかりの定期預金だけだった。

夫がいくら舅を問いただしても、金の管理は全て姑がしていたので、舅は「聞かれてもわからない」としか言いようが無いようだった。

贅沢な買い物も旅行も、姑が金を出しているんだから有るんだろうと思ってた、と言う所らしかった。

おまけに生命保険に関しては、何一つ保険という物に入っていなかった。

舅に理由を聞くとシラっとこう言う。

「保険に入ると、早よ死にそうで縁起が悪いから」

その後夫は舅姑の通帳に年金として入ってくる金額を不審に思い、役所を回って調べたら、姑は年金を8割まで一時金として貰っていたので、月額7千円しか貰えなくなっていた。

まだら認知症の姑がまともな時に、こう聞いてみた。

「なんで一時金貰ってたん?」

すると悪びれもせず、こう答える姑。

「お父ちゃんの年金が月額27万有るやろ? お父ちゃんは昔結核やって、今は糖尿や。脳梗塞にもなった。せやから、絶対にお父ちゃんが先に死ぬって思ってたから、私の年金が無くてもエエと思った。

遺族年金が7割貰えて、私の年金合わせたら月額19万6千円や。マンションのローンも、お父ちゃんが死ねば払わんでもエエから、20万円近くも有ったら、固定資産税や管理費払っても、十分に食べて行けるとおもってな。

それに友達からこのまま年金掛けてても将来貰えん様になるって言われたから、一時金で貰ってお父ちゃんとシンガポールに行って来た」

それで自分が認知症になってりゃ世話無いよ。

それも、自分は全く責任取らずだもの。

話は少し前後するが、舅の脳梗塞の件は震災少し前だった。

朝早くに姑から電話があり、舅の様子がおかしいけど今日は出掛けるから早めに来てくれとの事だった。

どんな風におかしいのか聞くと、右半身に力が入らずにソファーで寝ていると言う。

私は夫にすぐに救急車で病院に行った方が良いと言ったが、夫から

「お前は医者か!!オヤジの様子を見に行って昼ご飯用意してやってくれたらええんや。それが嫌やからそんな事言うんやろ!」

と、出勤前の慌ただしさもあってキレて吐き捨てられた。

夫と長男を送り出し、次男を幼稚園に送って行ってから義実家に行った。

舅の状態は右半身を下にしてソファーに横たわり、口の右半分が半開きでよだれが少し垂れていた。

「お茶飲もうとしても(右手に)力が入らんで、口の横から漏れてしまうんや...」

実際には上手く口が動かずに呂律のまわらない話し様だった。

私は姑に救急車を呼んだ方が良いと言ったが、姑からは大袈裟だと一喝された。

「昨日も深夜番組見て夜更かししとったから疲れてるだけや! 一日寝とったら大丈夫や!」

恐らく姑は救急車なんか呼ばれたら出掛けられないと思ったんだと思う。

程無くして姑は出掛けたが、舅の状態はやっぱりおかしい。

そもそもソファーに横たわってはいるが、自分で体を動かせないようだった。

「お義父さん、やっぱり病院に行った方が良いです。救急車を呼びますか?」

そう言うも、舅は姑が怖いのだろう、救急車は嫌だと言う。

嫌だのどうの言っている間は無いだろうとは思った。

「じゃあ、夫さんに電話して帰って来て貰って病院に連れて行って貰いますね!」

そう言って夫に電話をした。

「たぶん脳梗塞や脳溢血か。いや、お義母さんは『大袈裟な!寝不足なだけや!寝てたら治る!』って言うんやけど、これは絶対に病院に行った方がええんやけど。救急車呼ぼうかと...」

すると夫は、救急車を呼ぶより自分が今から帰って連れて行くと言うので待つ事になった。

内心私はこれだけ言っているのに、姑にしても夫にしても救急車を呼ばなくていいと言うのだから知ったこっちゃないと思っていたが、夫が帰るまでの30分ほどがとても長く感じた。

夫がマンション前に車を止めたままで上にあがって来た。

夫に舅を抱えて降りて貰う事にし、玄関まで行こうとリビングを出ようとしたところで姑が帰ってきた。

「今友達にお父ちゃんが朝こんな状態でなって言うたら、それはすぐに帰って病院連れて行かなあかんって言われたから戻って来たんよ!」

それは同じ事を私も言いましたよね?と思ったが、そんな事で揉めている時間は無い。

一番近く総合病院だと車で10分掛かるか掛からないかにあるが、車に乗った姑が言った。

「○○総合病院に行って!あそこは一流やから!もし入院になったらそっちの方がええから!」

一刻を争うのに、姑が指定した病院は車で1時間近くかかる。

「えっ?なんでそこなんですか?」

姑の応えに呆れてしまった。

「だってそこの方が病院が綺麗やし新しいし!」

結局その1時間近くかかる総合病院に行き、診察の結果医師からこう告げられる。

「あと10分遅かったら亡くなってましたね」

間に合った...、とホッとした瞬間だった。

「あんた!私が急いで帰って来て病院に連れて来たったから助かったんやで!一生私には頭が上がらんな!命の恩人なんやから!」

姑のその言葉には驚くやら呆れるやらだったが、もしこれで舅が亡くなっていたら、私がもっと強硬に病院に行った方が良いと言わなかったからだと責められていたんだろうと思ったらゾッとした。

この事で舅は右半身に麻痺が残った。

夫は右半身麻痺で糖尿の父親と、今後どんどんと認知症が進んでいくと言われた母親の前で、銀行を走り回って確認した金額が空の通帳数冊を手にして呆然としていた。

続く

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かづ

​ブログ「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」の管理人で、Ameba公式トップブロガー。 ​基本専業主婦の​50代​。子育てが終​り、​夫と4ニャンと暮してい​る​結婚36年目です。 ​一人っ子の夫と結婚し、舅姑の理想の嫁でなかった私の結婚生活においての戦いを思い出しながら書いています。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

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