「あなたの貯金額っていくら? いざという時、分けないと...」通帳をいじる妻の言葉に動転してしまい...

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:結婚25年以上の妻(56歳)と二人暮らしです。つかず離れずの距離感でうまくやっているつもりでいました。

「あなたの貯金額っていくら? いざという時、分けないと...」通帳をいじる妻の言葉に動転してしまい... 32.jpg

妻(56歳)との結婚生活は数年前に銀婚式を済ませ、25年以上になります。

2人の子どもに恵まれ、その子たちもいまは独り立ちして家を出ています。

妻との2人暮らしは3年目に入りましたが、特に問題なく過ごしていました。

今年になって、他の例にもれず我が家もコロナ騒ぎに巻き込まれました。

共働きですが、幸い仕事の方は在宅勤務も交えながらほぼ通常通り行えていました。

大きく変化したのは休日の過ごし方です。

私たち夫婦は、趣味嗜好が一致しないことを自認しています。

ロック音楽マニアと読書好き、映画ならアクション、サスペンス一辺倒の私は妻好みのほのぼのドラマは全く好まず、結婚以来二人で同じ映画を見たことはありません。

毎週の習字サークルに妻を送り届けた後、私は近場のドライブを楽しむのが定番でした。

ところが自粛生活に入り、休日は一日中一緒にいるようになりました。

朝起きてから、何となくテレビを見て過ごし、簡単な昼食を済ませ、まただらだらと午後をやり過ごして、2人で夕食をとる。

たまにテイクアウトの弁当などを楽しむ以外は、変化のない休日を繰り返しました。

最初のうちこそ「新婚生活の時みたい」とか「お腹に子供がいる時もこうして閉じこもってたわねえ」などと言って面白がっていましたが、さすがに1カ月も同じことが繰り返されると疲れてきました。

そんなある日の昼食、面倒くさいとカップ麺の昼食をすすりながら妻が呟きました。

「定年になったら毎日こんな感じかしら」

「え? ......まあ、そうかもなあ」

別な日はお茶を飲みながらこんな会話がありました。

「テレビも飽きちゃうわね」

「そうか? まあ暇つぶしにはちょうどいいよ」

「よく考えたら、共通の趣味ってないわねえ、私たち」

そうため息交じりにこぼされました。

5月の終わり頃、職場から戻ると在宅勤務だった妻がダイニングテーブルで貯金通帳をじっと見ています。

「どうしたんだ? そんなもの引っ張り出して」

「ねえ、あなたの貯金ってどのぐらい」

「何で?」

「だって、いざという時は分けないとダメでしょ......」

真顔で返されて動転する私。

それを抑えるのに必至で、返した言葉は上ずっていたかもしれません。

「いざという時、って、え? それって......」

「だから、もしもの話よ......ねえ、いくら? 私より多い?」

そう言って通帳を見せようとしてきます。

「給料はお前に預けてるだろ? 貯金なんかないよ」

「うそぉ、へそくりぐらいしてるでしょ?」

「そんなもん、できるわけないだろ。小遣い頼りの生活してるのに......」

言いながら不覚にも涙ぐんでしまいました。

「泣くことないでしょう......じゃあ、もしもの時は、私が分けてあげることになるってわけかあ......」

妻は何かを考えるように視線をそらしました。

私は妻が本気で離婚を考えているのではないかと気が気ではありません。

趣味は合いませんが、妻と別れたいと思ったことなど一度もない私には、まさに青天の霹靂でした。

「......自粛生活が終わったらさあ、久しぶりに温泉とか行きたくない?」

「......え? あ、ああ、いいねえ、箱根とか......」

「箱根! いいわね! 2人だけで旅行に行くのって、子供ができてからは初めてじゃない?」

「ん? そうかな? 確かに家族旅行ばっかりだったなあ、ずっと」

「趣味は旅行です、って言うのもいいかもね」

話が変わってホッとしました。

これがきっかけで共通の趣味ができるといいなあ、と思います。

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