<この体験記を書いた人>
ペンネーム:二児の父
性別:男
年齢:48
プロフィール:高校生の娘と中学3年生の息子の2児の父です。体が弱くて心配ばかりだった息子、進路に関しても難題を抱えています。
長女(16歳)が生まれて2年後に長男(14歳)が生まれた時は、一姫二太郎の願い通りと夫婦で喜びました。
這えば立て、立てば歩め、の言葉通りに期待を込めていたものの、小児喘息にかかったり、紫外線過敏症だったりと心配ばかりの息子。
どうしても甘やかし気味だったことは否定できません。
優秀な姉に比べて見劣りする学業についても、ついつい「元気ならまあいいか」と見逃していましたが、中学校に入るといよいよ成績は低迷してきました。
「そんなことじゃ、なりたいものにもなれないぞ」と苦言を呈しても息子には響きません。
「別になりたいものもないしなあ......ま、何とかなるでしょ」と軽く受け流されてイラつく日々を過ごしてきました。
そんなある日、突然「高校には行かない」と息子が言い出しました。
「どうせ、勉強できないしさ」と投げやりな態度です。
「何言ってるんだ! できないから逃げるなんて許さんぞ!」
つい声を荒げてしまいました。
「いや、勉強したくないからじゃなくて、やりたいことがあるんだよね」
「なんだ? 高校さえ行かずにできることなんてあるもんか」
そう問い詰めると急に神妙な表情になりました。
「俺、大工になりたいんだ。職人を目指す」
「は?」
こちらは目が点になりました。
小学校低学年の頃にもそんなようなことを言っていました。
ただの憧れだと思っていたのですが、当人は結構本気だったというわけです。
「よくわかんない勉強をしに高校なんか行くより、見習いになって技術を身につけた方がいいと思うんだ」
見たこともない真面目な顔で言います。
どうやら本気のようです。
小学校の卒業アルバムに「将来の夢はアルバイト、適当に稼ぎたい」と書いてあるのを見てため息をついたのを思い出しました。
それから考えれば自分の将来を少しは真剣に考えるようになったようです。
我が子の成長にちょっと嬉しくなりました。
...とは言え、大工も職人一筋の時代ではありません。
「職人だって経営の考えぐらいは持たなきゃだめだろう? 高校ぐらいは出ておかないとついていけないぞ」
「うーん、どうしても必要なら定時制でもいいし、早めに仕事として始める方がいいと思うんだ」
本人なりには考えているようなことを言います。
「いや、でも、もしもうまくいかなかったら、高卒の資格ぐらいは......」
「そんなやっつけ仕事みたいに高校行くのはかえって良くないと思うよ」
なかなかいいことを言うじゃないか、と感心している場合ではありません。
「とにかく、まだ時間はあるから、よく考えてみろ。お前の将来の話だぞ」
そう言ってくぎを刺したつもりでした。
「そうさ、俺の将来の話なんだから、 親父こそよく考えてみてくれよ」
あっさり切り返されました。
何の希望もないように見えた息子が、本人なりに真剣に将来のことを考えていたことは感慨無量です。
本人の希望をかなえてやりたいのはやまやまですが、私自身も勤め人で職人の世界はよく分かりません。
本当のところ中卒でいいものかどうか分かりません。
知り合いに大工もいないので、誰に相談したものか頭を悩ませています。
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