アナログな職場に「ITのスペシャリスト」が降臨! 一気に進んだ職場のIT化と...あっけない末路

<この体験記を書いた人>

ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:58
プロフィール:新しい時代にはなかなかなじめない地方公務員の58歳男性です。IT化は悩ましい課題です。

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「えっと、メールサーバの管理フローって...おい、管理者パスワードって、なんだっけ?」

「何だっけ、メモしといた紙が...どこだあ...」

「そもそも、パスワードって、どこに入力するんだ?」

「だから、URLを打ち込んでですね...」

「URLって?」

7月に入り、我が職場は大混乱に陥りました。

私は地方の町役場に勤めています。

財政ひっ迫の折柄、新人の確保もままならず、職場の高齢化は進む一方、IT化は遅れに遅れています。

いまだにメールよりファックス、パソコンよりはワープロが活躍する状況で、ペーパーレスやらネットワーク化やらは手つかずのままでした。

そんなこの4月、1人の若者が課長から紹介されました。

「ええ、IT推進員として配置されることになった○○君だ。みんなよろしくな」

「アイティーすいしんいん? なんだそれ...」

聞きなれない役職名にみな首をかしげました。

「○○君は大学の工学部で情報工学を専攻されたそうだ。大手の情報系企業に内定していたんだが、コロナ禍で内定が保留となってしまったそうで...」

そんな中、町の出身者で新卒者限定の臨時職員募集に応募してきたということで、情報工学の専門家ということを買われ、役場のIT化のための人材として配置されたというわけでした。

「こんにちは。推進員の○○です。皆さんの業務用パソコンにグループウェアを導入しますのでご協力をお願いします」

5月の初め頃、そう言って彼が私のいる課を訪れました。

「グループウェア、て、なんだ?」

「ネットワーク上で情報を共有するシステムです。こちら、マニュアルになってますのでご一読ください」

そう言って、パンフレットのようなものを全員に配ると、さっそく各々のパソコンをいじり始めました。

「ふうん、ブラウザでいろんな情報をやり取りする仕組みなんだ...へえ、役場内の連絡はメールでできるようになるの?」

「はい。メモのやり取りなどをするよりも確実ですよ」

「なるほどね、さすが、詳しい人がいると違うねえ」

みな何となく感心していましたが、正直よく分かっている者はいなかったと思います。

それ以来、役場内の連絡はメール、文書は添付ファイル、会議資料はPDFとどんどんデジタル化していきました。

正直、年配者が多い職場ではついていくのが精いっぱいなところはありましたが、資料作成などの手間はかなり減りました。

「便利なものだな」とみなで話していました。

ところが7月に入り、○○君は3か月遅れながら内定が決まっていた情報系の企業に入社することになりました。

「短い間でしたが、お世話になりました」

臨時職員から離職する彼は、グループウェアの管理フローを作成し、これを総務課の一番パソコンに詳しいと言われる職員に託していきました。

彼が去って数日、メールがうまく届かなくなり、冒頭の体たらくとなりました。

結局のところ、彼がやっていた管理業務は誰1人として理解しておらず、管理フローもそこで使われる一つ一つの言葉にひっかかってしまう始末でした。

スーパーヒーローの登場で一気に構築された職場のIT環境は、メールが機能しなくなり、資料の送付もそれとともにできなくなりました。

会議資料は従来のコピーをステープラーでガチンガチンと綴じる形に逆戻り。

職場のIT化という組織の思惑は、もろくも崩れ去ってしまいました。

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コメント一覧

思惑とかそんなことではなく、最低限それくらいできないと不味いのでは?おじさんたちが早く卒業してきちんと仕事できる人がやってくれないと迷惑かかるのは周囲の職員と地域の住民です。 今どき田舎の役場だってこんなに酷くない。
3ヶ月の間、何してたんですか?情けない。

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