<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男
年齢:42
プロフィール:昨年の末、父の7回忌を迎えた一人息子。
2020年の11月、父(享年65歳)の7回忌を迎えました。
本来であれば、お寺でお経をあげてもらい供養するところです。
しかし、コロナウイルスの影響を考えると、年配の親族にお集まりいただくのもよろしくないということで、母(66歳)とわたし(42歳)の家族のみで、ひっそりとお墓参りをすることにしました。
お寺には母から、法要自粛の連絡とともに、お墓に立てるお塔婆(卒塔婆)を頼んでもらいました。
ところが、この後このお寺の対応がわたくしの悩みの種になってしまいます。
当日になり、お布施を用意してお寺に行きました。
「御免ください」
呼び鈴を押して声をかけても、お寺は電気もつかず、しばらく経っても誰も出てきません。
「御免ください!」
もう一段大きな声で呼ぶと、奥から住職が出てきました。
「はて、どちら様でしょうか?」といった表情です。
法衣をまとっているので、この後法要があるのでしょう。
すかさず母が声をかけました。
「本日、お塔婆をお願いした○○(我が家の苗字)です」
「え?」
「夫が7回忌になりますが、こんな状況なのでお塔婆だけお願いしていたんですけど!」
「はぁ、そうでしたっけ。FAXはいただいてましたか?」
このお寺、法要をお願いする時に、備忘の為にFAXをするよう言ってきます。
我が家にはFAXがないので、実家の母親に連絡を頼む理由の一つです。
「えぇ、送りましたよ。よく確認してください」
住職が奥に確認に戻り、しばらくして戻ってきました。
「申し訳ありません。確かにいただいてました。お墓の場所はどこですか? 後ほど、お塔婆を立てておきますので」
どうも、忘れていたようです。
「○○(我が家の苗字)です。場所ぐらい、そちらでお調べください!」
わたしがお布施を渡す役割でしたので渡す素振りをすると、それはしっかり受け取ります。
2人で黙ってお寺を出てお墓に向かう為に車に乗り込みました。
「ふざけるんじゃないよ! 墓じまいだ! 分家だと思って舐めやがって! 後で立てておく? そういうもんじゃないだろ!」
母は怒り心頭です。
今のお墓には、母方の祖父と父が入っています。
今だ健在の祖母(93歳)と父が、30年ぐらい前に建てたものです。
このお寺は、祖母の実家の曽祖父が先代の住職に惚れ込み、地元の有名なお寺から移したことが始まりのようです。
当然、当主(祖母の長兄)である本家のお墓が一番立派で、その周りに祖母の兄弟がお墓を並べて建てています。
しかし、母方の親族なので苗字も変わっており、住職からすると、本家との繋がりも分からないのかも知れません。
また、現住職は先代の住職ほど熱心ではないのか、お寺やお墓は掃除も行き届いていないレベル。
先日、墓守が処分した古いお塔婆が、空いた墓地にあるゴミの山に放り込まれており、その中にうちの名前が混ざっていたのを見つけあきれたものです。
「まさかず。わたしはここのお墓じゃなくてもいいからね!」
30年前にお墓を建てた時、父が言っていたことを思い出します。
「これで、おまえはお墓の心配はしなくていいぞ。場所も家の近くになったからお墓参りもしやすいな。俺が入ったら、お前が墓参りしてくれよ」
「うん。わかった」
まだ小学生だった私も、そう返事をした気がします。
「お父ちゃん。心配しなくてよかったんじゃないの?」と思いながらも、どうせなら綺麗で気持ちいいお墓りをしたいよね、と妻と話しています。
解決に時間のかかる宿題が出来てしまいました。
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