<この体験記を書いた人>
ペンネーム:Jenn
性別:女
年齢:52
プロフィール:ただいま断捨離中。思い出に浸るので倍の時間がかかっています。
イギリス人の夫が日本に住んで20年以上が過ぎました。
最近になって剣道を始めた夫は、上級生が下級生の世話をする姿にびっくりしています。
袴のはき方や面のつけ方など、大人より根気よく、下級生に手取り足取り教える上級生たち。
夫の目には、強制されてもいないのに自然に社会的な役割をこなす、日本独自の人間関係に見えるのだそうです。
夫は、突然「僕も近所に兄弟がほしかったなあ」と言いました。
「近所にって何?」と尋ねると、一人っ子だった夫は、集団登校の様子を見て1年生に優しい6年生の生徒たちが姉や兄のように見えて、羨ましく思うのだそうです。
昨今の治安や地域の事情により異なるのでしょうが、私たちの住む地域では、私が子供の頃からずっと集団登校が行われています。
私の時代は、上級生が一番前と後ろについて下級生を挟んで面倒をみながら、時には遊びを教えながら登校していました。
夫が子供の頃通ったイギリスの小学校では各自登校でしたが、近所でも子供たち同士が親しくなることは稀だったといいます。
今では保護者と一緒に登校するのが当たり前だそうで、開校時間になるまで子供は学校に入ることもできません。
保護者は、開門時間ちょうどに子どもを学校に預け、教師はクラスの子供達を校庭に並ばせ、教室まで整列して移動させます。
何かあった時のために、門の外は親、門の内は学校としっかり責任の所在を分けているそうです。
また夫は、小学校の給食時間にも感動していました。
以前、給食の試食会に参加した時は、味には馴染めなかったものの、6年生が1年生の配膳を手伝う姿に感動を覚えたと言います。
机をくっつけてみんなで食べ、そこに日替わりで順番に回ってくる先生と一緒に食べることを素直に喜ぶ子どもたち。
その幸せな構図は6年生の手助け無しではできないのではないかと思っているようです。
給食をアットホームな雰囲気にし、集団生活を学ぶという教育の一環にするなんて、日本的すごさだと感心しています。
最近では、自分で作るお弁当の日があり、料理を学び楽しむなんて、イギリスでは考えられないといいます。
夫が子供の頃も今もチョコレートやケーキを昼食に持って行くことは珍しくないし、夫はお金をもって学校に行き、カフェテリアで好きなものを買って食べていたそうです。
だけどそれに特別な意味はなく、ただ食べればいいという考えだったといいます。
給食時間が、教師にとって指導時間だということにも驚いていました。
夫が言うには、イギリスに食育という考え方は無かったとも。
一生に一回しかない小学6年生。
彼らが上級生として行っている下級生のお世話が日本特有の文化、という指摘は、目から鱗が落ちる思いでした。
彼らは、自然に年下の人やできない人に手を差し伸べることを学んでいたのですね。
6年生とは、自然な形で社会的役割を手にすることができる特別な学年なのだと思いました。
うちの子どもたちの6年生時代をもっと大切にすればよかったと反省しますが、もう遅いか...。
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