アメブロで「~こんな事を言っちゃあなんですが!~」を運営しているかづと申します。現在は夫婦二人と3ニャンとで暮らしています。私の嫁時代の体験を思い出しながら書いています。
前回の記事:年金は大半を一時金でもらい、保険は未加入...。姑の「惨憺たる懐事情」
舅姑の経済状況を知った夫は、何をどうすればいいのか分からない状態のままだった。
あれだけ金があると豪語しておきながら、蓋を開けてみればほぼスッカラカン状態。
さらに何の保険にも入っていなかったので、病気になろうが怪我をしようが、どこからも何も出せない。
互助会には入ってはいたが、毎月千円を100回払いの内たった6回しか払っていなかった。
それも一口だけだった。
姑はある意味几帳面だったので、領収書や納品書が残されていて、姑の文箱には着物に毛皮に宝石に化粧品と、納品書や領収書にカードの請求書が入っていた。
通帳やそれらを照らし合わせると、公務員の舅が定年退職してから、わずか10年ほどで1億2千万円を使い切っていた。
文字通り、金の切れ目がなんとやら...かのごとく、金を使い切ると同時に認知症となったのだった。
夫は呆然とする日々を送り、舅は後は野となれ山となれ状態で過ごしていたが、家の事も子育てもしなければならない私にとっては、する事が倍増以上だった。
姑が縞状健忘、いわゆる「まだら認知症」という事は、認知機能がはっきりしたよい時もあれば、悪い時もある訳で、それが素人目ではなかなか判断が難しい。
独身時代に短期間ではあったものの、介護病棟の担当もしていたので少なくとも知識や経験があった分扱いには慣れていた。
後日病院から診断が付いたのはアルツハイマー型認知症だと言う事だったが、どの様な型であっても患者自身への対応は同じだ。
にも関わらず、何度説明しても夫も舅も、たまに現れるまともな時の姑を見ると
「呆けてるか??」
と、気楽な発言をする。
けれども認知症の症状が出ている時は、隣近所のインターホンを軒並み鳴らして回り、そして裸足で徘徊する。
それも時間関係無くだったので、夜中の2時や3時にインターホンを鳴らして回られるのはさすがに何とかしなければならない。
居を別にしているとはいえ、玄関から徒歩2分の同じマンションで知らぬ存ぜぬは出来ない。
ましてや姑と一緒に住んでいる舅がこれまた我関せずで、姑が徘徊で出て行っても全く気が付かず、私が食事の支度をしている間だけでも見ていてくれと何度言ってもテレビを見だしたら姑の事など忘れてしまう。
舅も認知症なのか?と言うとそうではなく、やはり日常的に関心が無かった事がこう言う時に出て来るのだろう。
私は早朝から自宅での家事を済ませて夫や子供を送り義実家に行き、子供達は学校や幼稚園が終わると義実家に来て過ごし、舅姑と一緒に夕食が終わると自宅に送って行って風呂に入れて寝させる。
私は再び義実家に戻り、夫は会社の帰りに義実家に来て夕食を食べてから自宅に戻る。
そこから深夜遅くまで義実家で世話をして自宅に帰る毎日になった。
そんな中、夜中のピンポンの件に加えて病院に連れて行く様子を隣近所の住民に目撃され、姑の最初の徘徊からまだ1ヶ月も経っていなかったが、あっと言う間に姑が認知症になったと言う事が噂で広まった。
ある日、自宅から義実家に行く時に、同じ階段の奥さんに呼び止められた。
最初は「お義母さんどない?」と様子をうかがう内容だったが、要は「火でも出されたら困る」と言う内容だった。
最初にも書いたように、義母の認知症は「まだら」だったので、まともな時には台所を使おうとする事があり、火の始末が本当に心配ではあった。
ガスの元栓を絞めていても開けて使おうとする。
ガスコンロの火だけつけて忘れてしまう事もあった。
私が自宅に忘れ物を取りに行っている数分、舅に姑を見ていてくれと頼んだが、義実家に戻った私が見たものは、台所の出窓から片足を外に出している姑だった。
「お義母さん!何してるん!!」
慌てて姑を引っ張り上げた。
「だって...、私ここから入って来たんやもん...。急に入り口が小さくなって出られんようになった...。」
マンションの3階とは言っても高台に建っているマンションなんで実際は5階近い高さになる。
出窓から落ちたらコンクリートに直撃になる。
「なんで見といてくれんかったんよ! 私、頼みましたよね!」
私はそう舅に怒鳴ったが、舅の顔は無表情だった。
私はその日から自宅に帰れなくなった。
続く
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