<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ももたろさん
性別:女
年齢:52
プロフィール:夫は会社員、妻は自営業、子供なし。夫婦の趣味は讃岐うどんと日帰り湯。
コロナで帰省自粛した2021年のお正月、義母(76歳)から電話が入りました。
「年賀状届いてる? 送ったと思ったら引き出しに残ってたの」
義母の年賀状は元旦にしっかり届いています。
もしかして2枚書いちゃったのかな?
「届いてますよ~。きっと書き損じた方ですよね~」
そんなことを話し、いったん解決しました。
翌日、再び義母から電話。
「年賀状届いてる? 出すの忘れてここにあるのよ」
ん? これはもしかして?
さらに2日後、まさかと思いましたが年明け3度目の「年賀状届いてる?」と電話。
さすがにこれはと夫(54歳。義母の長男)に相談しました。
「忘れっぽいのは前からだし、年をとればそういうことも出てくるよ」
重く考えずのんびりした夫に、「まあね」と答えておきました。
私自身も仕事があるし、一応報告はしたので「報告もしたし夫の言質もとった。妻としての義務は果たしたぞ」とほっとしていました。
確かに普段から義母の電話はいつも同じで一方通行。
言ったことを忘れるという点では、義母は随分前から記憶が怪しいのです。
夫の言葉を免罪符に、モヤモヤとした気持ちに蓋をして、しばらく考えないことにしました。しかし...。
お正月からひと月ほどたったある日、宅急便が届きました。
いつも配達してくれる顔なじみの配達員さんが「宛名がないんですけど、こちらで間違いないですか?」と言うので送付状を見てみると、確かに住所はあるものの名前の記載がありません。
おまけにマンション名も違っていて、よく届いたなと感心したのですが、送付元の義母の住所・氏名はしっかり書かれていました。
割と珍しい苗字なので、配達員さんも機転を利かせて持ってきてくれたのです。
中身は夫のお気に入りのお菓子で、義母がわざわざバスにのって買いに行く和菓子屋さんで売っているものでした。
奇妙な送付状にザワザワとした気持ちで、義母に電話を入れると、私の実家から贈り物が届いたので、返礼品を送るついでにこちらにも送ってくれたとのこと。
宛名のことを言うべきか考えている間に、義母のおしゃべりが続いて電話が切れました。
義父が50代の若さで他界してからずっと、義母は一人暮らしをしています。
カラオケが好きで友達もたくさんいて、ご近所さんが毎日遊びに来ては井戸端会議、という日常が、コロナのせいで失われてしまいました。
夫も職場で感染第一号になったら大変という思いから、実家に丸1年以上帰っていないし、夫の弟家族もそうなので、孫にも会えずさみしさが募るのも当然のことだと思います。
それが、老いを加速させてしまう一つの要因になっているのだろうかと思うと、心が痛いです。
「コロナ・認知症」で検索すると「感染症の拡大により認知症増加」「コロナ禍で増加する高齢者うつ」などの記事がヒットして、読めば読むほど心がざわついてきます。
ここは夫をプッシュして一歩踏み出すべきなのかと思う反面、踏み出した後はどうなるのでしょう?
介護が必要になったら今の生活はどうなるのか、仕事はどうする、性格の違う義母と毎日向き合っていられるだろうかと、考えるだけで気が滅入ってしまいました。
とりあえずコロナが落ち着くまでと、このモヤモヤにまたしても蓋をすることにしました。
関連の体験記:「抱っこさせてくれるの?」名家に嫁ぎ、劣等感にまみれた私の前で、初孫を抱いて涙ぐんだ義母
関連の体験記:弟の妻が幼い子供2人を残して亡くなってしまい...80歳の両親が「子育て」に乗り出した結果は...⁉
関連の体験記:昼食15時、夕食21時、洗濯は14時から......。ちょっとめんどくさいマイペースなお義母さん
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。