<この体験記を書いた人>
ペンネーム:Baltan
性別:女
年齢:55
プロフィール:海外在住の55歳バツイチの独り者。いろんな失敗を回収しつつ奮闘中です。
私は長女で55歳、2つずつ年の離れた弟が2人います。
現在80歳の両親は自営業をしながら3人の子を育てあげ、60歳を超えた頃には夫婦2人だけの生活になり、ぼちぼち老後の準備をしていました。
上の弟の家族は、実家から新幹線の距離に住んでいます。
そこの子供、両親にとっては孫2人が、とても「じじばばっ子」。
今は高校生になりましたが、小中学校の頃は夏休みのたびに子供達だけで両親の家に滞在していました。
夏休みの宿題をさせ勉強も教え、夏バテしないようにご飯を食べさせ、プールに連れて行ったりと奮闘する両親。
普通の生活だけでも大変な年老いた身なので本当に大変だったと思いますが、それでも自分の子育ての時にはなかった気持ちの余裕があるようで、孫たちに丁寧に向き合って充実していたようです。
高校生になるとさすがに孫達も来なくなり寂しかったそうですが、自分たちの事だけで毎日疲れてしまう年齢になったこともあり、ゆっくり過ごして人生を締めくくるつもりでいたのです。
去年、下の弟の奥さんが、幼子2人を残して他界するまでは...。
私はもう30年海外に住んでいるので何もできず、下の弟が頼るのは近所に住む両親しかいませんでした。
幼稚園と小学3年生の子供達は、放課後を両親の家で過ごし、自分たちの家には仕事終わりの父親(下の弟)に迎えに来てもらい、寝に帰るだけ、という生活が始まりました。
経験のある方には分かっていただけるでしょうが、幼稚園児の面倒は、幼稚園に持って行くお弁当作りから、毎日の送り迎え、行事ごとに必要なものを揃えることなど、多岐にわたります。
食事や生活の面倒は別にして、主だったものでもこれだけあるのです。
さらに、小学生の方は宿題のチェックからテストの準備も...。
80歳という年齢で、いきなり私達を育てていた50年前にタイムスリップするのはどれだけ大変か...。
心配した私と上の弟は、学童に預けるなど他の方法を考えることを勧めましたが、「孫が可哀そう」という気持ちで一杯の両親は、命を削ってでも面倒を見ると言って聞きません。
どうしたものか...と思っていたのですが、そんな両親に「変化」が出てきたんです。
遠くにいる私は、毎日のようにテレビ電話で親と連絡を取っているのですが、とにかく両親の張り切りようをヒシヒシと感じます。
お弁当に何を入れたか、晩御飯にどんな工夫をしたか、これが好きと言っていたから明日は用意するんだとか、玄米を混ぜるようにしたら子供の便通が整ってきたとか...。
食事だけでなく、今日はこんな可愛い会話をしたとか、おやつは最近これなんだとか日常のことまで...もう話題は孫の事ばかり!
少し前まで「あそこが痛い」とか、「ここの調子が悪い」とか、自分の体の不調ばかり話していた様子とは大違いです。
「もういつ死んでもいい」という暗い話題が多かったのに、今は、「この子達のために長生きをしないといけない!」と気が張っているようで、「声の張り」からして全然違います。
大変だけれど、誰かに求められる生活はとても充実しているようで、弟が仕事休みの週一日だけ、夫婦2人の生活に戻る「休日」が待ち遠しいという、メリハリのある生活は、尊く輝いて見えます。
3回目の子育てを客観的に見ながら、自分も一期生(長女)としてここを卒業したんだなと改めて感謝の気持ちでいっぱいになる日々です。
そして甥っ子である子供たちの寂しい心が、少しでも「じじばばの愛情」で癒されて、健やかに育ってくれることを遠くから祈るばかりです。
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